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【詩】「ウニ」

たとえば、寿司屋でメニュー表を眺めていたら、ウニがあって、ウニを頼もうか迷ったとする。

でも、高い。
食べたいけど、ちょっと高い。贅沢だ。
「収入が増えたら、またいつか食べよう。」と思って、
食べなかったとする。

しかし。

収入が増えるのは果たしていつだろう?

いや、

収入は本当にいつかちゃんと増えるのだろうか?

もちろん、あなたは真面目に働いている。
能力もある。
優秀なあなたが、真面目に働いたとして。
それで収入はちゃんと増えますか。

ここで、1929年を思い出してみよう。
一瞬でお金が消え去ることも無いとは限らないはずだ。

仮に収入が増えたとして。

収入が増えた時、あなたは健康な歯を持っているだろうか?
あなたは健康な胃腸を持っているだろうか?
あなたは健康な食欲があるだろうか?
あなたは節約が必要な事情に迫られていないだろうか?
あなたは寿司屋に行く時間があるだろうか?
その寿司屋はつぶれていないだろうか?
ゆっくりご飯が食べられるほど世界は平和だろうか?
ウニは漁獲禁止になってはいないだろうか?
(かつてのクジラのように。)
ウニが漁獲禁止になっていないとして。
美味しいウニが獲れるだろうか?
美味しいウニが供給されるとして。
その時、ウニはもっと高くなってはいないだろうか?

いま、ここで、健康な自分が、美味しいウニを、美味しく食べられるということは奇跡なのだ。

機会は奇跡だ。
機会より価値のあるものは無い。
お金も大事だけど、機会はもっと大事だ。

機会は、複雑で、多種多様で、無数に存在する歯車たちが、
なぜかその日その時にピッタリと嚙み合った場合のみに発生する、
奇跡的な巡り合わせなのだから。





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