Rainbow Connection(鈴木康太『霊園東通り南』より)

あなたが離した
親指と人差し指で水の花束
垂れた
ジャングルジムでみつかった
春のペンキ
亀の甲羅つかむ



まちがえて鳥が星を食べないように
一粒ごとに
積み上げた
そのなごりを
雨という



薄い窓は小さくて
小指をたてて
窓を開ける
干した影を取りこもうとしたけれど
爪よりも柔らかい
ささやきが痛い



雲にあらわれる
枕の影
言葉を盗んでいる
草むら
あなたは春の手をしている
しずめると 指は衣をつける



氷ってる蓋の上で
瓦を割っている
父の
耳は来たときと同じ大きさで
それは隙間のない
綴り文字



骨の手
沈めて
つぶやかれても
化粧に迷いの影はなく
あなたと
静かにビッグバンみている



地図に立てた棘にさされて
死んだ山脈の
翌日の血のような湿気
鯨の群れ
わずかに残った髪の毛で
座礁する言葉



あなたが棲んでいた
耳たぶに
戒名をつける雨の糸
ディズニーランド
しぐれになるころは日暮れのひとり
脈拍のあるほうへ



鈴木康太『霊園東通り南』収録
発行:七月堂

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