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宿題

湧く羽虫を
小さければ子が
速ければ猫が仕留める
見ないふりの
蜘蛛は
育つ

もう
小学生で
虫ではないので
ちゃんと時間割どおりに
過ごすこと
花を育て
観察日記を書くこと

「思ったことなら何を書いてもいい」
わけではない
と知っているので
何も書けないでいる

子に
それでもなお
「思ったことなら何を書いてもいい」
と懸命に言う

事務所で
数日前を思い出している
顛末書には書くべきことだけがあって
何も思わない

それでもなお
湧く
隅へ動くようなものを追っている

知らない
虫かもしれない


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古溝真一郎詩集『きらきらいし』収録
発行:七月堂

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