暁方ミセイ 詩集『青草と光線』(注文チラシ付)
「わたしはしかたなく/人間と恋愛をしていた」
「宿願」
なんだかくもゆきが
騒がしい車の通りのために
部屋の静けさは影になり丸くなり
電線の向こうには風雨の王国
陽射しにぬくもる妙な気分
王様は風にやどり
ひとこと呼ぶだけで誰のところにだって
そう呼ぶだけで
いろとりどりの秋の花草
冬の遠い雲
さなかに現れるずうっとむかしからの眠るところ
陽は空気を溶かし
それでも日に日に鮮明になっていく
乾いた冷気が
塗りかえる街路樹のおもてに
冬のこころがそれっぽっち