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きれいに文字を書くためには?デジタル時代の今こそ身につけたい正しい筆圧

スマートフォンやタブレットの普及により、入力された文字を目にする機会が増え、自分の名前ですら書く機会が減ってきています。入力された文字は大きさや濃さが揃っていて読みやすいですが、手書きの文字には個性や書き手の人柄を感じさせるあたたかみがありますね。子どもがしっかりとした文字を書けるようになるには、どのような練習をしたら良いのでしょうか。


●筆圧は、お絵描きから学ぼう

正しく文字を書くためには、適切な筆圧を身につけることが必要です。鉛筆を正しく持ち、適切な力を込めることで美しい文字を書くことができます。

パソコンやタブレットの使用が増えた結果、紙に文字を書くと、うすく読みにくい、ふにゃふにゃと曲がってしまうなど、筆圧の弱い子どもが増えているようです。反対に筆圧が強すぎると、紙が破れたり、鉛筆の芯が折れたりすることも。正しい文字を書くための第一歩として、子どもに筆圧をコントロールする力があるかどうかを確認しましょう。

調べる方法は簡単です。宅配便など複写式の伝票に鉛筆で文字や線を記入し、一番下までしっかり写っていたらOKです。このくらいの筆圧が出るまでは、お絵描きや色ぬりで筆圧を強くするトレーニングが必要です。
 
子どもは3歳ごろになると、クレヨンや鉛筆を持てるようになります。グルグルと丸を描いたり、ぬりつぶしたり、文字のようなものを書き始めたら、子どもの好きなように描かせてください。

はじめは強く描きすぎて紙を破いてしまったり、力が入らずに色鉛筆の色がきれいに出なかったりと、うまくいかないこともありますが、続けるうちに適切な筆圧できれいな色を出せるようになります。このとき、色をきれいに出せたことだけでなく、子どもの描いた絵を思いきりほめることを心がけてみてください。

絵を描くのは表現のひとつです。好きな色や発想で自分が描いたものを「じょうずだね!」とたくさんほめられると、子どもは自己表現や絵を描くことに喜びと自信を抱き、さらにお絵描きを好きになります。

ポイントは、水性ペンやクレヨンではなく、筆圧を学べる鉛筆や色鉛筆を使うこと。お絵描きで楽しく筆圧をトレーニングしながら、同時に自己肯定感と表現力も伸ばしていきましょう。

●タブレット学習を始める前に

最近では、学習教材としてもタブレットを使用することが多くなりました。子どものやる気を引き出す映像や音などを使用することもできるため、文字が書ける、読めるようになってくると、タブレット学習を始めるご家庭が多いようです。

指やペンでやさしくなぞることで画面に線や文字が表示されるタブレットは、手軽で始めやすいメリットはありますが、筆圧を身につけることはできません。最近の小学生は筆圧が弱く、これまでよく使われていたBの芯では濃い文字が書けないため、より芯がやわらかい2Bや3Bを使うことが多いのだとか。

適切な筆圧で文字を書くことができないと、授業時のノートやプリントに記入する際の力の加減がわからず、うまく書けない、書いても薄くてよく見えないため、書く=ノートをとる、つまり勉強することが嫌になってしまうことがあります。反対に、小学校入学前に正しい筆圧を身につけていれば、ノートやドリルに文字を書くのが楽しくなり、自然と学習意欲も高まるでしょう。

タブレット学習のスタートは、正しい筆圧で文字が書けるようになった後の高学年以降でも十分です。小さいうちは筆圧を鍛え、文字をていねいに適切な強さで書くための練習をしっかりしておくことをおすすめします。デジタル全盛の今だからこそ、しっかりと美しい文字を書けることは、子どもの強みかつ財産になるでしょう。