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SNS上の個人の影響力が増し、グーグル検索の価値が下がる

インスタグラムによって変化する若者の購買行動

若者の購買行動は、インスタグラムによって大きく変化しています。

たとえば行きたいカフェを調べるときに、WEB検索よりもインスタグラムを活用します。まず、カフェに関するキーワードでインスタグラムの検索をして、見つけた投稿から「場所」や「ハッシュタグ」を使って他の投稿へと辿っていきます。

自分の好みに近そうな情報を発信しているアカウントを見つけたらフォローしておき、そのアカウントの投稿の中から探してみます。

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良さそうなカフェをいくつかピックアップしたら、そのカフェの公式アカウントからホームページを見て、空いている時間や予算感を把握し、実際に行ってみます。

なぜ、WEB検索よりも、インスタグラムが好まれるのか?

なぜ、WEBでの検索よりもインスタグラムが好まれているのでしょうか?

インスタグラムのメリットを考えると、まずテキストよりも写真の方が、直感的に店の雰囲気を知ることができます。さらに、とりあえず暇つぶしにストーリーを見るなど、日常的に接しているツールでもあります。

WEB検索には、情報が多すぎるという問題があります。選択肢が多すぎると、人は選ぶのがおっくうになります。膨大な選択肢から取捨選択する時、自分の価値観や基準を明確にしなければいけません。

カフェを選ぶ際の基準を言語化してみると、「私がいきたいのは、ドリンクだけでなくフードも充実していて、3時間くらいゆっくりと本を読んだり、ぼんやりして過ごすのに適した環境が良い。店のサイズは15人くらいの静かな空間の方が良いかな。予算は1500円以下だと嬉しい。」といった感じです。

こうして、「予算」「店の規模」「フードの充実度」「雰囲気」などの基準を設定してグルメサイトなどで検索をしていきます。自分の欲しているものを言語化し判断の軸を作るというのは、とてもめんどくさいのがわかると思います。

さらに、WEBの情報には信憑性がないというのをぼんやりと感じています。PR情報や雑なまとめ記事などノイズが多く、自分の選択に確信を持てません。

一方で、SNSのインフルエンサーがその課題を解消します。自分と近しいセンスや好みを持っていて、さらに自分よりそのことに詳しければ、その人の選択を信頼して自分もそのカフェに行くようになります。その際に、自分の欲求や好みを言語化する必要がありません。写真のビジュアルによって、ダイレクトに自分の気持ちを確かめます。「わっ、この人の行っているところ全部ステキ!私も行こう!」というシンプルな行動です。

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そして、インフルエンサーの選択を自分も選択してみて一度満足すれば、この人にしたがっておけば間違いないとなり、次からもその人の投稿の中から選択するようになります。

結果として、SNS上の個人の影響力はさらに増し、相対的に情報の集積と検索の価値は下がります。

・WEB情報の集積と検索は価値が下がり、情報を発信する個人の影響力が増す
・なぜなら、WEB検索では情報が多すぎたりノイズがあったりし、選択するのがめんどくさいから
・自分と価値観が近く、センスが良い人の選択にしたがっておけば間違いない

今後、価値が出そうなもの

ここから、さらに一歩先を考えてみると、インフルエンサーの検索が必要になってくるでしょう。投稿やキーワードをたどってインフルエンサーを見つけるのは時間がかかります。この人をフォローしておけば間違いないというインフルエンサーの「リスト化」には価値がありそうです。

インフルエンサーを目指すのであれば、「好き」を追求するオタク的な性格と、人に受け入れられる「センス」が大切になるでしょう。

インスタグラムの情報だけでは、「営業時間」「メニュー」「場所」など、お店の情報として不十分なので、インスタグラムの公式アカウントにリンクさせる、名刺としてのホームページの価値も向上しそうです

・インフルエンサーを目指すなら、「好き(オタク)×センス」
・インフルエンサーのまとめが必要
・お店の名刺としてのホームページの価値向上

考察

この事象が良いことであるか、悪いことであるかはわかりません。アメリカのトランプ大統領の誕生や、イギリスのEU離脱などから、「ポスト・トゥルース」という言葉が生まれました。この言葉は、客観的な事実が重視されず、感情的な訴えが政治的に影響を与える状況を表しています。

好きか嫌いかという感情を重視して、インフルエンサーに選択の判断を委ねる姿勢は「ポスト・トゥルース」にも通じるところがあります。しかし、自分の中に判断の軸を持ち、こだわりを持って追求する姿勢が、逆に多くの人に評価される時代であるとも言えそうですね

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