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なぜ人は故郷に戻りたくなるのか真剣に考えてみた

先日決意をした、故郷である新潟へのUターン移住。noteにその覚悟を記したところ、自分でもびっくりするくらいの反響をいただきました。

このnoteをきっかけに日経新聞にも記事にしていただきました。

まさか、一個人の引越しの話が日経に載るなんて想像もしていなかったので、世の中的にも注目されるテーマなんだなと知ることができました。他にも多数のメディアさんから取材の依頼をいただいております。いつでもお気軽にご連絡ください。

そんなこんなで、今回のnoteのテーマなのですが、取材の中で「なぜ戻ろうと思ったのですか?」という質問を度々されまして・・・
自分自身の移住理由は前回のnoteにも書いたのですが、今回は「そもそもなぜ人は故郷に戻りたくなるのだろう?」という風にスコープを広げて考えてみることにしました。

故郷に帰りたいという想いは自分も含めて多くの人が持ち合わせていると推察するのですが、そもそもそれはなぜなのか?ということは真剣に考えたことがなかったので。

良かったら是非この記事をお読みいただき、ほんの少しでも自分の故郷について考えてもらえたら嬉しいです!

サケは生まれ育った川に帰る

「故郷に帰る」というキーワードでまず最初に思い浮かんだのがコレです。鮭が生まれ育った川に戻るというのは、有名な話ですよね。
サケは何千キロも離れた大海原から、どうやって間違えずに故郷に戻ってくることができるのか?
調べてみたところ、生まれ育った川の「におい」を頼りに帰ってくるという説があるようです。

「匂い。」

これ、なんか分かる気がします。自分の場合は新潟の田んぼの匂いとか、海の匂いとか、雪が降った日の匂いをかぐと、「ああ、地元に戻ってきたな」と強く実感します。この故郷の匂いって、すごく安心するんですよね。なので、地元に戻った際は家や車の外に出た時にいつも深く鼻で息を吸っていました。

匂いと共に、色んな青春の思い出がフラッシュバックしてきて懐かしくなると同時に、「ああ、自分はあれから少しは成長したのかな」とよく考えていました。

ウミガメは産卵期に生まれた砂浜に戻る

先ほどのサケと同様に、ウミガメも里帰りすることで有名ですね。ウミガメは、生存確率が非常に低いことでも有名です。そんなウミガメが生まれ故郷に戻って産卵をするのも、なんだか分かる気がするのです。

「自分の子供には、自分が生まれ育った場所で育って欲しい。」
これも、多くの人が自然に思うことなのではないでしょうか。

自分が慣れ親しんだ場所という安心感。子育てをする時にこれはもちろんあると思いますが、それと同時に、できるだけ多くのことを子供に伝えたいという思いもあるのではないでしょうか。

僕は、Hilcrhymeの春夏秋冬という曲が大好きです。
その歌の中に、こんな詩が出てきます。

いつかもし子供が生まれたなら教えよう この場所だけは伝えなきゃな
約束交わし誓ったあの 夏の終り二人愛を祝った場所

自分の知っている場所を、子供に伝えたい。非常に共感します。
僕の場合であれば、春には高田の夜桜、夏には佐渡の海や長岡花火、秋には黄金色に染まった南魚沼、冬には雪景色を見せてあげたいなと、強く思うのです。

カントリーロード(故郷へかえりたい)

先ほどHilcrhymeの話を出しましたが、故郷について歌ったヒットソングはたくさんありますよね。
カントリーロードは誰もが知る名曲だと思いますが、その邦題は「故郷へかえりたい」。とてもストレートな曲名ですよね。(ちなみに原題は「Take Me Home, Country Roads」)

僕も大好きな歌なのですが、とても良い和訳を見つけました。

ラジオから聴こえる音は 僕の心をあの場所まで運んでくれる
はやる気持ちで車を飛ばしながら僕は思った
ああ どうして僕は昨日まで故郷へ帰ろうとしなかったんだろう

胸に突き刺さりますね。

「なぜ故郷へ帰るのか?」ではなく、「なぜ故郷へ帰ろうとしないのか?」

質問を逆にしてみると、面白いことに気付きます。
僕の場合は、帰らない理由なんてなかった。故郷が嫌いなわけでもないし、故郷にいたら仕事ができないわけでもない。雪は嫌いなどころか好きだし、都会よりも星が見える田舎の方が好きだ。

そう、帰らない理由なんて、どこにもなかったのです。

あの頃に戻りたい

故郷の曲といえば、もう一つ好きなのはEd Sheeranの「Castle on the Hill」。
今これを聴きながらこの記事を書いています。

幼い頃や青春時代の甘くてほろ苦い思い出。誰にでもあると思います。
それを思い出させてくれる歌なのですが、一番好きなフレーズはこれ。

I was younger then, take me back to when..
若かったなぁ あの頃に戻りたいよ

不思議なもので、歳を重ねるごとに「昔は楽しかったなぁ」と思うものです。
自分の場合は青春時代だけでなく、スタートアップをやっていても常に思います。
創業時は、楽しかったなぁ。あのサービスを創った時、楽しかったなぁ。
思い出が美化されるというもの当然あるし、もう戻れないということも当然わかっている。

だけれども、思い出に浸ることって、幸せだと思うのです。

故郷にいると、思い出を振り返るシーンがとても多いです。
この道よく通ったな、ここであいつと出会ったな、ここで泣いたな、ここで笑ったな。
そんな風に思い出に浸れるきっかけが多い日常って、いいですよね。

そして、故郷に帰りたい理由の一つに、旧友と再開できるというのがあるんじゃないでしょうか。
地元には、小学校のときの友人、中学校のときの友人、高専時代の友人・・・たくさんの旧友たちがいます。あいつらに会えるのが、楽しみだな。

故郷という言葉の意味

改めて、故郷という言葉の意味を調べてみました。

自分の生まれ育った土地

まぁ、そうですよね。故郷・郷里・古里、いろんな言葉がありますが、誰しもがこれをイメージするでしょう。
もう一つ定義を見つけたのですが、とても考えさせられました。

物事の発祥地。また、その源となるところ。

深い。

自分のルーツというのは、確かに故郷にある気がします。起業家は原体験が大事だとよく言われますが、多くの人にとって原体験はきっと故郷にあるのではないでしょうか。

野口英世が幼少期に負った火傷の手術を受けた際に医学の素晴らしさを知ったというのは、有名な話ですよね。僕も野口英世記念館に母と行ったのが良い思い出です。
自分の原体験といえば、小さい頃から転校が多く、妙高→南魚沼→新潟→長岡と多くの場所で生活したのですが、転校した際に友達と仲良くなる手段として最も役立ったのが「ゲーム」でした。マリオカート、スマブラ、ポケモン、テイルズシリーズ・・・たくさんのゲームを通して友達と仲良くなることができました。小さい頃の僕は、ゲームによって本当に救われました。なので任天堂とソニーには一生感謝しています。
そんなこんなでゲーム好きだったこともあり、僕は自然とゲームプログラマを志すようになり、高専に通いたいなと思うようになったのです。高専に通えば寮生活ができるので、ずっと友達と一緒に居られるなと思ったのも大きいです。
起業しようと思ったのも、「大好きな友達とずっと一緒にいたい」という思いが強かったことが影響しています。学校を卒業してしまったら、せっかくできた友達と離れ離れになってしまう。それが何よりも辛かった。だから、「会社を創れば、大好きな友達とずっと一緒にいられるのではないか。」と考えたのです。
今思うと恥ずかしい理由ですが、それでも僕にとっては大事な大事な原体験でした。こういった想いが実ったのか、フラーには小学校・中学校・高専・大学、それぞれの同級生や後輩たちがたくさんいます。彼らと学校を卒業してからも共に時間を過ごすことができて、僕はとても幸せです。

ちなみにフラーには、「修学旅行」という名の社員旅行があります。

僕は学生時代、修学旅行が本当に楽しみでした。大好きな友達みんなで行く旅行。これほど幸せな行事は他にありませんでした。でも、学校を卒業してしまったらもう行くことがなくなってしまう。それはとっても寂しい。であれば、会社で行けばいいじゃないか!ということで始めたのがフラーの修学旅行です。

少し長くなりましたが、僕の場合は間違いなく原体験が故郷にあります。
起業してから8年以上が経ち、だんだんと大人になってしまっている自分。昔よりつまらない人間になってきている気がします。だからこそ、今一度故郷(物事の発祥地)に戻って、しっかりと自分のルーツを考え直したいと思います。
そして、これからどんどんチャレンジをしていきたいと思います。

「故郷に帰ったら挑戦は終わり」というイメージを変えたい

最後に、この記事で最も伝えたいことを書きます。
そもそも、「なぜ若者は故郷を離れるのか?」ということなのですが、

若者にとっては故郷を離れることが「挑戦」の始まり

だからでしょう。かくいう僕もそうでした。20歳のとき、大学進学を機に故郷を離れました。あの時、本当にワクワクしました。「これから新しい世界で、新しい挑戦が始まるんだ!」と。

僕自身、若者が一度は故郷を出て、広い世界を知ることは大賛成です。

そして、このツイートにも書きましたが、できれば経験を積んだ上で故郷に戻ってその経験を還元してもらえたら嬉しいと思っています。

ここで一つ、問題があります。

それは、「故郷から出ること=挑戦」というイメージは一般的にありますが、その逆はないということです。
つまり、「故郷に戻ること=何かを諦めること」のようなイメージがある気がするのです。

僕は、このイメージを変えたいと思っています。
むしろ、故郷に帰ってからこそが真の挑戦の始まりだという世の中にしたい。

そんな想いで、今年の1月に上越新幹線にこんな広告を掲載しました。

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この広告は、地元長岡の大好きな酒造である吉乃川さんの「東京新潟物語」にインスパイアされています。広告掲載当時、吉乃川の峰政社長からも温かいメッセージをいただいて、とても嬉しかったです。

ところが、です。

こんな広告を掲載していながら、なぜ自分は新潟に住んでいないのか?
その現実こそが、故郷≠挑戦を表してしまっているのではないか?

やはりこんなことを大々的に言っているのだから、自ら故郷に帰って、そして真の挑戦をするべきだと。
そう強く想うようになったのです。

だからどうしてもこれだけは言いたくて、このnoteを書きました。

「渋谷は疲れたから新潟に帰った」とだけは言われたくないんです。
むしろ、渋谷は新たな挑戦をするために新潟という場所を選んだと思って欲しい。

とはいえ、他人にこう思ってくれと押し付けるのもおかしな話なので、自分自身がこれからやっていくことを通じて、真の挑戦であるということを証明していきたいです。

今一度、故郷について考えてみよう。

さて、長くなりましたが、故郷について改めて考えてみて、とても良かったです。
世間ではふるさと納税がここ数年ブームになっていますよね。これもきっと、東京一極集中した世の中で、多くの人が故郷について考えるようになっているからだと思います。

この記事をきっかけに、少しでも多くの人が故郷について考えるきっかけになれば幸いです。

Twitterでも故郷についてよく語っていますので、良かったらフォローしてみてください!

あと、良かったらnoteもフォローしてもらえると嬉しいです!

ということで、「なぜ人は故郷に戻りたくなるのか真剣に考えてみた」でした!

サポートいただいたお金は、母校である高専や故郷の新潟など、後世や地域のために活用したいと思います。 よろしくお願いいたします!