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No.51 「大河への道」雑感

 先日「大河への道」を観てきた. 何かの映画の予告で観て, 気になっていた映画だったので, 観にいったのだが, どうして中々よかった. 最近だと「日日是好日」とか「ムツばあさんの花物語」とかが印象に残っているけど, それ以来1年ぶりくらいにマトモな映画を観た気がする. ちょっと昔で行くと10年前の「天地明察」(思えばアレは祖父母と母と一緒に観に行った最後の映画だったなぁ)に近い感じがしたけど, コッチの方が色々な意味で良かったと思う. 

 何より印象的だったのは

原作:立川志の輔

企画:中井貴一

というテロップで, 思わず二度見して, 帰り際にパンフレットを購入し, 更に本屋に寄って原作を買いに行ったくらいだった. 

 ざっくりとしたことの経緯としては

最初に立川志の輔の新作落語としてこの「大河への道」があり, それを聞いた中井貴一が映画にしたという

ことらしい. 映画鑑賞後に原作を確認したが, 色々とアレンジがされていて正に一粒で二度おいしかった. 

 元が「落語」なので「オチ」は言わないが, ともかく色々な意味で面白かった(一点だけ「忠敬」の「ちゅうけい」読みが「忠」と「敬」の伏線だったのは余りにも素朴だが, ラストにその意味に気付ける仕組みには感動すら覚えた). 本当の意味での「(知的な)娯楽」というか, 

「邦画界もやろうと思えば, できるじゃないか」

と少しばかり見直した. 多分昨今のゴミ映画にも劣るbusiness likeに作ろうとして大ゴケする大量の産業廃棄物とは異なり, 中井貴一をはじめ, 作り手達も本当に作りたくて作った映画だったのだろう. 加えて, 

「彼らにもやはり業界についての危機感はあって, それに対するアンチテーゼとしてこういう試みをしたのだろう」

という印象にも好感を覚えた. 

 今後もこういう作品が定期的に作られてほしいものである. 

 ただヤボかもしれないが, 一点どうしても気になったことがあった. それは(「天地明察」の時もそうだったのだが)

「測量を歩測で行う」

という描写である. 映画やドラマとしてはその方が映える描写なので, 撮りたい気持ちはわかるのだが

「イヤ, それは明らかにないだろ...」

とどうしてもツッコミたくなった. 

 それは

1) 精度がよくないということ

2) 地図の測量は海岸線沿いにやるので, 歩測ではそもそも測れないような地形も多い

からである. ではどうするかというと, 当然適当なmeasureを使うのである. 

 案の定, パンフレットの方にはちゃんとこの辺の解説がされていて, 伊能隊も歩測は第一回の測量だけで以後はフツーにmeasureを使ったらしい. ただし, measureにも縄のものと鎖のものとがあって, 縄のものは水分を吸って伸び縮みすることまで書いてあった. せっかくここまで調べたんだから, 映画に反映すればよかったのにとは思った. 

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