いちごの唄

いちごの唄という映画を観に行った。
この映画はミュージシャンで俳優としても活躍する峯田和伸のバンド「銀杏BOYZ 」の楽曲からインスパイアされた脚本家の岡田恵和が自らの脚本で紡いだオリジナルストーリーを映画化したというもの。
「銀杏BOYZ 」の楽曲を中学時代から嗜んでいた私にとって、大変興味深い映画だっただけに、公開前から非常に期待していた。

しかし、どうやら私は過度な期待をしてしまったようだった。

映画が始まってすぐ、古舘佑太郎演じる主人公笹沢コウタの人物像に疑問を抱いた。
どうやらこの主人公は工場勤務らしく、同僚はパートと見られるおばさんや外国籍の男性。彼と同年代の男性は見られそうにない。
まあ、「高校卒業してすぐ就職したのかな?」くらいの感覚でとりあえず流した。そんな人結構いるもんだし、私みたいにみんながみんな大学出て就職って訳でもないよなと。

物語は、七夕の日に偶然中学時代の恋心を抱いていた同級生天野千日(ちか)に再会したことで動き始める。私はこの同級生にコウタが再会したシ-ンにものすごい違和感を感じてしまった。
というのも、コウタは千日を見つけたとたん、過剰過ぎるテンションで彼女のもとへ駆け寄り、突然「あ-ちゃん?」と叫び、呼び止めるのだ。
この「あ-ちゃん」というのは、千日のあだ名らしいのだが、千日の呼ばれた際のリアクションから見て彼が影で呼んでいただけらしくクラスメイトが呼んでいた訳ではないようだ。

映画を見ていけばわかるのだが、彼らは田舎の出身らしく、再会した高円寺という場所は昔から住む故郷という訳ではなく、コウタは就職のために上京した?ように考えられる。

ド田舎からわざわざ東京まで工場勤務してる主人公が全くもって意味が分からないのだが。

一方の千日はどうやら東京の大学生らしい。
なるほど、コウタも彼女と同い年か………………。
ここで気づくほどこの映画は説明に不足していた。

ちなみに千日が自ら「いま、東京の大学に通ってる」と発言する描写はない。また、過去の辛い出来事もあってなのか年齢以上に大人びた印象を受けるため、とても大学生には見えず途中までてっきり30手前のOLか何かかと思っていた。
まあ、千日を演じた石橋静河という女優が25歳ということもあるが。

コウタに呼び止められた千日は、意外にも彼の名前を覚えていたらしく、「ササザワコウタくん」とフルネ-ムで呼び返していた。彼の過剰過ぎるハイテンション。千日のいかにも距離を感じさせる呼び方。映画を見ていくと、二人は中学時代ろくに会話してこなかったらしい。
それじゃあこの距離感も当然だなと、思いつつも、やはりコウタの異様なテンションに再び疑問を感じる。

ろくに会話もせず、ただ一方的に片思いしていた相手に、偶然地元から大きく離れた場所で会ったからといってそのテンションおかしくね?って具合にに。この段階では、「ただのコミュ障なんだきっと。口下手で感情表現苦手なだけなんだ。」そう受け入れるしかなかった。

再会したあと、コウタは目の前にあったラ-メン屋に誘う。このラ-メン屋の店主を峯田和伸が演じていて、おそらくファンは嬉しいだろうななんて思いながら見てた。
二人はここで会話を交わすのだがイマイチ噛み合ってない。それでも主人公は楽しそうだ。
コミュ障だから、相手を置いてきぼりにしてることに気づかないのだろう。

ラ-メン屋の描写のあと、突然夜道を歩く描写に変化する。
ん?二人はずっとラ-メン屋にいたのか?7月だし日が出てる時間も長いはずだ。それとも出会った時間がすでに夕方だったのか?こんな疑問を押し殺しながら観賞を続ける。

コウタは千日を彼女が住む近くまで送り届けると、「来年の七夕にまた会おう」などと言う。言い忘れたが、7月7日の七夕の日はコウタの中学時代の親友伸二の命日で、それも込みで彼女との再会に運命を感じていたようだ。

親友の命日にハイテンション………………。拭いきれぬ違和感。

ちなみにこの伸二。後に分かることだが二人の目の前で軽トラに轢かれるというなかなかショッキングな死に方をしている。そんなこともあってか、千日は伸二が死んでからずっとこの出来事を引きずっていて生きている。一方、コウタは伸二の葬式の日に会場で遺影の伸二を見たとたん気絶して倒れてしまう。

だから私は、この気絶する描写を見てからおそらくこいつ(コウタ)は過去の出来事がきっかけで精神的にものすごい苦痛を感じて自分の記憶のなかから彼の死の記憶を抹消しようとしている。その反動からくるハイテンションなんだ!と。コウタの家族のコウタに対する異様な優しさもきっとそこから来るものだと。

納得しようとしたんだけどなぁ……………。

冒頭だけで違和感の連続。
このあとも違和感の連続である意味楽しませてくれます。終盤の無理矢理良い感じにまとめてきたあたりで私はもう置いてきぼりになりました。

それでも良い感じのタイミングで銀杏BOYZ 流してきたので評価するとしたら3.0ぐらいかな?

あとは、千日の中学時代を演じる清原果耶がめっちゃ可愛くて、ヒロイン感出てた。

結論。 

清原果耶大好き。結婚しよ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?