自動販売機と天秤

この記事を読む皆さんにぜひ想像してほしいことがある。

自動販売機で180円のジュースを買うことにする。
財布から100円硬貨2枚を取り出し、煌々と光る機械に入れる。
鈍い音とともに排出されるジュース、そして乾いた音を立てて順番に出てくる20円のお釣り。

ここで私は皆さんに聞きたい。

ジュースとお釣り、どちらを先に取りますか？

180円のジュースと20円のお釣り。
金銭的価値が高いのは間違いなくジュース。

機械から排出される順番としても、先に出てくるのはジュース。

金銭的な価値を考えても、順番を考えても、ジュースを取り出してから20円を回収するのが妥当なのではないだろうか。

理論的(?)に考えればそうであるはずなのだ。
しかし、自分はいつも、20円のお釣りから回収してしまう。

(もし今ここに、他人から物を盗もうとたくらんでいる人がいて、汎用性が高いのはお金のはず…ならばお金から回収しなければ…)

そう考えてしまうのだ。
（※自分の名誉のために弁明させていただきますが、20円をどうしても盗られたくないのではなく、”モノを盗られる”というショッキングな経験を回避したいのです。ご理解いただけますと幸いです。）

だがしかし、本当にそんなことがあり得るのだろうか。

あり得るとして、盗られるのは本当にお釣りなのだろうか。
お腹がすいてどうしようもない人であれば、お金よりもジュースを取ろうとするかもしれない。

いや、略奪を計画的に行う人であれば、自販機に表示される数字を見て、金銭的価値が高いものをとっさに判断しているかもしれない。
その場合は、盗られるものは自分の直前の行動に依存する。

だとすれば、どちらから回収するのが正解なんだ…‼

この一週間このことについて考え続けた結果、自分なりにたどり着いた最適解がある。
それは、キャッシュレスでジュースを購入すること、だ。

勝手に迷い、悩み、答えにたどり着いて満足した私は、今日も180円のジュースを買うために200円を財布から取り出す。

リンゴジュース美味しい。