かつて勇者だったぼくらへ。

今更ながら『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー』を観た。
ずーっと気になっていたので、近所のTSUTAYAが閉店を予告したタイミングで借りることにした。

CGアニメーション映画としては上々の出来だと思う。
基本的に本物の「ドラゴンクエストⅤ」のストーリーを踏襲していて、演出も胸熱だったり。
ストーリーはかなり端折っているので(端折っていることが伏線の一部なのだけど)ゲームを一通り知っていることがこの映画を楽しむ第一の条件。

問題は、話題になった例の結末。
いつか観ようと思ってたのでできるだけ目をそらしてたけど、それでも断片的な情報がちらほら入ってきてしまっていたので、八割がた、なんとなくは想像していた展開だった。
これはほんと賛否分かれるだろうなあ。
どこかで、子供が観て「二度とゲームをやりたくない」と絶望したというエピソードを読んだ気がするが、無理もない。
ありがちでもいいからテンプレート的なエンディングを迎えて最後まで"ドラゴンクエストの世界観"を守ってくれるのを期待してる人は、年齢関係なく観ないほうがいいと思う。

でも僕は、なかなかよかったと感じた。前知識がなくいきなりやられたらショックだったかもしれないけど。
ていうか、とよかったと感じるのは、ドラゴンクエストⅤのゲームの初版をおとなになる前にがっつりはまることを"許された"世代の、ちょうど僕くらいの歳のおっさんだけかもしれない。
それ以上だとゲームに疎い可能性があるのでピンとこないか、それ以下だと退屈(今はマンガなんかで似たような展開が割とよくあるので)かもしれない。
あのころの自分が夢中になったドラゴンクエストⅤを使って語られたからこそ、さっくり刺さった。「今更そんなことわかってるけどさ…まあでもね…」と苦笑しながら、かつて勇者だった気持ちを思い出して観終えた。
少なくとも、今ゲームに夢中になれる子どもたち向けではなかった。

それでも絶対観るべき、とは決して言えないけど、公開からそこそこ時間が経っていてまだ気になっている人は観るといいと思う。
これはドラゴンクエストの映画ではなく、あくまでゲームの映画だった。


あと、個人的には最後は"てんくうのつるぎ"ではなく"ロトのつるぎ"だったのが好き。あと、やっぱりどうしてもビアンカ選んじゃうよなあってとこに共感(笑)