チームに貢献しようとして、自己完結に向かっちゃう人たち

キャリアに関するものと同じくらい、コミュニケーションの講師もよくやっている。聴くとか問うとかもそうだけど、チームにおける対話についても、いわゆる「人間関係トレーニング」の学びを活かして研修を行っている。

そんな一幕での話。

世の中にはいろんなチームがある。
一人一人が自立していて、お互いにしっかり関わりあって目的の共有が明確なチームが理想だけど、まあ現実はいろいろ。あきらかにサボる人間がいて、バラバラで機能していなくて、リーダーだけが頑張っているチームもあれば、リーダーが機能していない分メンバーが必死に支えているチームもある。でもそこまで「誰が悪い」もなく、みんなそれなりにまじめで善意の人が集まっているチーム、だけど、問題がたくさん埋もれているチームというのが、一番多いかもしれないなあと思う。誠実に仕事はしているけれど、成果が今一つで、なんとなく労働時間も増えぎみでみんな疲れ始めている、なんていうチームが多いような。

ここに何があるのだろう。

研修では（時間によるけど）体験型のゲームを複数とりいれている
・目的がシンプルで協力体制が作りやすいもの
・目的はシンプルだけど難易度が上がり混乱が生じるもの
・目的を見失ったり、葛藤が強くて難易度が上がるもの

最初のゲームで上手くいったチームも、次、また次で余裕がなくなっていく。その様子を見ながら「やっぱりなあ」と思うのは、

「みんな一生懸命チームに貢献しようとしているのに、自己完結してとどまっている？」

ゲームはどれも互いに協力し、知恵を出し合い、試行錯誤しなくては動かないようになっている。そこには「誰か詳しい人」がいるわけはないので（そういうテーマなので）ゆだねる相手はいない。

それでもこんなことが多発する。

・全体の動きについていけなくなって無言で考えている
・自分の思考の整理に時間をかけていて、チームの対話にくわわれない
・自分の考えは自信もないし価値もないと決めつけている

6人で考えているとして、それぞれが上記のような思考パターンでいると何がおきるかというと、プロセスで出されるはずの疑問もそれによる新たな視点も得られず、最初になんとなく決めた方向性に引っ張られた結果を導き出し、メンバーの満足度もなんとなく低くなる。行き詰っても違う視点が得られにくく、ただなんとかがんばるのみ。で結果が残念なことも。
でも、責任感強いみなさんは「私がお役に立ててなくて」って言う。

チームで何か課題を解決する、成果に向かって進む、というときのコミュニケーションで大切なのは、そこにいるメンバーの出せるものをちゃんと「場に置く」ってこと。たとえば「今ちょっと全体が見えなくなってる。わからないよ」とか「〇〇ってこの場合、どういう可能性を見たらいいのかなあ。誰かわかる？」とか「これってそもそも～～が絶対なんだっけ？」と素朴な疑問を投げ込むとか、そういうこと。

けれど現実には
・わからなかったから黙ってた（邪魔しないように）
・自分の考えをまとめてから言おうと思ってた（まとまらなかった）
・〇〇さんのようにアイデアも浮かばないし、こういうの向いてない

…そんな風に言ってる（し行動している）
見事な自己完結っぷり。
まず自分で考えて、必要十分なものをこの場に出すことが貢献だ、って思い込んでいる。

予習してきた子どもが授業で先生にあてられたときに「はい、それは〇〇です」って答えるみたいなのを、協力すること・貢献すること、って思ってない？違うよ。

自分で考えて答えが導かれるのなら、それはもちろん悪くない。
でも、大半のことはそうはならない。だから組織があってチームがあるのだ。チームメンバーは上司の都合のいい駒ではない（そういうチームが短期的に必要なときもあるけれど）。
でも（このゲームで見せられたのは）バラバラの役割を担って完結しようとしている人がただその場にそろっただけ、みたいなこと。出来の悪い必殺仕事人じゃないってば（この例えはわかるんだろうが…ｗ）。

むしろ必要なのは、わからないからどう考えたらいいの？そう聞いて誰かが「ああ、これはこうだよ」と答えたら、それで「え？そっちだったの？」「ああ再確認しなくちゃね」となったり、「そっちなら自分は得意だから、任せて」ってなるかもしれないようなこと。そうやって相乗効果につながっていくような、ね。

一人一人が「まず自分でやんなきゃ。ちゃんとしたこと言わなきゃ。」ってやっているうちに、無駄な時間がどんどん消費されていく、そんなこともよく起きる。そのうえ疑問を確認しないから「多分こうだろう」っていう推論でさらに迷走することにもつながる（二度手間にもなる）。

その思い込みはきっとチームに貢献しない思考クセだから、変えていけるといいよね。

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