もの言う自由、受け取らない自由

人の悩み、というもののほとんどは「人間関係」によるものだと思う（とアドラー本を書いている岸見先生もおっしゃっていたような）。で、それらを「キャリアコンサルティング」という場でいつも聞いているわたしがお伝えしたい「シンプルな一つの方法」がある。
　
それは「他者からかけられるすべての言葉を、受け止める必要はない」ということ。それ、あなたが「決めていい」んだよ、ってこと。

「こんなふうに言われてしまうんです（悩）」と言う人に、
「言われるでしょうね。でもそれ、受け取らなくていいんじゃないですか」とわたしは言う。そうすると、多くの方は目を真ん丸にする（笑）。そして、ポカンとする。
「いやいや、庭先でスズメがちゅんちゅん鳴いてるみたいなもんだよ」って言うと「そんなんでいいんですか？」と笑ってくれたりもする。

でも、多くの方はむしろこんな風に言う。
「どうしたら言われなくて済むでしょうか」
「どうしたら（相手は）わかってくれるでしょうか」
についてはもちろん、やることがあるだろうと思うが、根本的にそのことにあなたがエネルギーをかける重要性があるのかどうかは、考えたほうがいいなと思う。そして、そこはどうしても相手に理解してもらう必要があり、絶対に言わせないぞ、と意気込む理由があると自分で決めたのなら、そこに対して頑張ってみよう。エネルギー注いでも全部が叶うかどうかはわからないけど、やっていこう。それはそれで全力で手伝うよ。
　
でも、ほんとそれ「庭先のスズメ」だと思えるようなら、スルーでいい。そうして本当に問題が起きることは、限りなく少ない。
そして案外こっち側が多い。

もちろん人格否定されて心が削られる、自分じゃなくて子どものことだから言わせたくない、直接被害がある（誰かによからぬ噂を流されるとか）、そんなものは当然ながらNGだ。わかっているよ。断固阻止せねばね。
あと、仕事上の指摘や指導だったら「耳が痛いものほどちゃんと聞いて考える」のだよ（そのうえでハラスメント案件なら別の対応ね）。

でも、たとえばわたしが言われたこんなやつ
「えー、公務員辞めるなんてもったいない」（市役所辞めるときね）
「こんな小さいのに保育園なんて…」（実母に言われたやつね）
「よくあんなにSNSで何でも書いちゃうよね」（古い知り合いに言われた）
こういうことは、全部「窓の外のスズメ」扱い（笑）。
「そうかもねー」「…（無視）ところでさー」「そう？読んでくれてありがとー（棒読み）」みたいに応答したり、しなかったりしている。

でも、「そんな風に言われると揺らぐ」と言う人が少なからずいて、そうして「世界のみんなに理解されてない行動を取るわたしは、何か間違っているのかもしれない」みたいになってしまう。いや、それ無理だから（笑）。

わたしにもあなたにも、誰にでも「もの言う自由」はある。それが相手にとって嫌なこと、傷つくことであるならば、当然指摘を受ける必要があるし、そもそも言うほうが悪い。でも、そこまでではない「個人の見解の相違」のようなものまで、「黙れ。口出すな。わたしにもの言うな」と言えるだろうか？言えないよね。「いつもわたしが喜ぶコメントだけを言え」なんて絶対言えないよね（笑）。
だから、大事な友人だからこそちゃんとわかってもらいたい、とか、この発言をすることが社会的にどんな意味を持つのか（たとえばジェンダー関連とか）を知らないようだから伝えたい、みたいなときを除いては、すべてをあなたにとっていいようにすることはできないよね。

もの言う自由も大切、でも、あなたがそれを全部受け止めない、という自由もあるんだってことは、ぜひやってみてほしいなあと思う。

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