小説 介護士・柴田涼の日常 103 代車を受け取りに行く、不採用通知が来る、リモコンキーの電池が切れる

 翌日はお休み。明けの次の日が休みというのははじめてだ。一・五連休だ。鼻毛を切っていたら鼻を切ってしまい血が止まらない。疲れているのかな。

 ゴロゴロしていたら一日が終わってしまった。夕食後、散歩に出かけると久しぶりに長い距離を歩いてみたくなった。やはり身体を動かすのは気持ちいい。身体を動かすところまで持っていくまでに時間がかかるが、動き始めてみると心も身体もだんだんほぐれてゆき、いろいろなことがどうでもよくなってくる。そうして気分は一新される。

 翌日は遅番。その前に代車を受け取りに行かなければならない。こうしたことで日常のペースが乱されるのは嫌いだ。どれくらい時間がかかるか読めないので、早めに家を出なければならない。それも嫌いだ。

 代車はとても乗りやすい軽自動車だ。母親の車よりハンドリングもなめらかで、ブレーキの効きもよく、車高も高くて周囲が見やすくなっている。新車が来るのはいつになるかわからないが、この代車ならいつまででも待つことができそうだ。

 この日は午後からセンリさんとイマイさんをお風呂に入れて何事もなく終わった。

 面接の結果は不採用だった。経験が足りないのと、一つのところに勤める期間が短いので、信用されなかったのだろう。僕も軽率な転職活動だったと反省している。猪俣さんにも結果を伝えた。励ましの言葉をいただいた。一緒に働けることを楽しみにしていたのに、ということだった。僕は介護福祉士の資格を取るまではここで経験を積むのがいいと思った。猪俣さんもそう言っていた。正直なところ、転職は現実的ではないなとどこかで思っていた。

 翌日は日勤。勤務時間がだんだん早くなるシフトは緊張感があっていい。午後から園内研修があった。Iユニットのリーダー林さんによる接遇に関する研修だった。資料もどっさりあり、多岐にわたる内容だったが、全部プリントに書かれていることを読み上げるようなものだったので、途中から眠たくなってきてしまった。研修の感想を書かないといけないので、それは資料を見ながら書くことにしよう。

 家に帰って車から降りると、車の鍵の電池が切れていることに気づく。リモコンキーに内臓されているボタン電池が切れてしまうと、エンジンすらかからない状態になってしまうようだ。リモコンキーをエンジンの始動ボタンに近づけるとエンジンはかかった。不便なものだ。これなら普通の差し込むタイプの鍵のほうがいいと思う。仕方なくまた車を走らせてボタン電池を買いに行く。戻ってきてようやく夕食となる。一時間は遅れてしまった。翌日は早番なのに。こういう時に限ってこういうことが起こる。

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