小料理屋について

会員制のバーみたいなお店、あるじゃないですか?
よく芸能人とかが行ってるみたいな。
あのお店に行ったんですよ。

友達の友達の友達の親戚がやってるみたいで、「遊びに来なよ」みたいな感じで誘ってもらったんですけど、道が全然分かんない。
その友達に聞いたら、「コンバインの駐車場あるからすぐ分かるよ」って言ってて。
いや、分かるかって。
思ったんですけど、信号待ちしてるコンバインがいたから、それについていったら、お店について。
つくんかいって。つけるんかいって。

んで、着いたはいいんですけど、扉の横にクラリネットがおいてあって。
これで間違えずにドレミファソラシドを吹ければ、鍵が開くって張り紙が貼ってあって。
リコーダーのテストかよって。音楽の授業思い出すわって。
そいで、どうやって吹くの?って。持ち方もよくわかんないし、どれが、なにが、ドなのかも分かんないし。

オドオドしてたら、後ろからおじさんが来て、「邪魔かな」ってスッとどいたら、そのおじさんがまっすぐ扉の前に進んでいくんです。
よく見たら分かったんですけど、そのおじさん、日本刀みたいに腰にくくって、マイクラリネットを持ってきてて。
マイクラリネット?ってまずなって。あんま見たことないじゃないですか。
そいで、日本刀の位置?って。多分、昔から吹いてる人なんだろうなって、思ってたら、お店の鍵のところに、クラリネットかざしてるんですよ。
んで、その直後、ピッて音がして、おじさん中に入っていったんですよ。
Suicaのシステム、だったんですよ。
たしかに、今思い出せば、伸びるストラップついてましたわ。

んで、入って、席に座ったんです。このお店はお酒もうまいんですけど、マスターが作るチャーハンがうまいって、聞いてて。注文したんです。

作り置きしてたんかってぐらい、早く出てきて、びっくりしたんですけど、レンゲが無い。マスターに言ったら、「ちょっと待ってて」って言って、持ってきてくれたのが、大きめの熊手だったんですよ。
おかしくない?
マスターがすぐ別のお客さんのところ行っちゃったから、一回すくってみたんですけど、チャーハンがポロポロ落ちるんです。
すごい美味しそうなチャーハンなんです。パラパラで。

パラパラだからポロポロ落ちるんです。
パラパラポロポロ。パラパラポロポロ。パラパラポロポロ。

結局、熊手で掻き込んで、全部食べましたよ。
硬くて痛かったわ。
もちろん、その熊手は、日本刀の位置で持ち帰りました。

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