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【洋画】怒りの葡萄(1939)

監督:ジョン・フォード
出演:ヘンリー・フォンダ、ジェーン・ダーウェル、ジョン・キャラダインなど
上映時間:2時間8分

ジョン・フォード監督作品「怒りの葡萄」鑑賞しました。

1930年代の大恐慌時代のアメリカ。オクラホマ州の農家の息子であるトム・ジョードは激情で人を殺してしまい、4年間の懲役の末仮釈放で帰ってきた。彼の実家はダストボウル(土地開墾による砂嵐)の影響で耕作ができなくなり、生活に窮し、仕事があるという噂のカリフォルニア州に一家で引っ越すことに。トムも説教師のジム・ケイシー(ジョン・キャラダイン)と共に旅に合流することに。

アリゾナ砂漠やロッキー山脈を乗り越える過酷な道中で、祖父と祖母は体力尽きて亡くなってしまう。従姉妹もその過酷さゆえに逃亡する。一家はなんとかカリフォルニアにたどり着くものの、そこには既に溢れかえるばかりの労働希望者がおり、彼らはまともな仕事を得ることができない。一家は低賃金の日雇いの仕事の為に、キャンプを転々とする生活を送ることに。

この作品を観ていると、後に世界で共産主義が台頭する理由が分かります。当時の資本主義はこんなにも酷かったのかと。資本家による搾取で、農民はゴミくず同然の扱いを受けます。このような時代があって、今の生活があると考えると、歴史を学ぶことの大切さが分かります。歴史を知ることで初めて未来を創造できるのですね。

大恐慌時代のアメリカを知ると同時に、この映画から感じられたのは「母親の愛」です。マー・ジョードのたくましく、愛に包まれたキャラクターが素晴らしい!!ジェーン・ダーウェルも圧巻の演技です。特に息子に対する接し方が、本当にいいお母さんだなと。息子のことを理解した上で、信頼している。殺人を犯した息子に対して、あのような言葉をかけれる母親がどれぐらいいるものでしょうか。心から信頼していないとあの言葉は出てきません。

作品中一貫してたくましさを見せながらも、息子が出ていくときに「かくまってあげることもできるのよ」と、彼と離れるさみしさがあふれ出てしまうのも胸アツでした。とにかく息子トミーに対する信頼の置き方・距離感が、本当に理想の母親です。もちろんしっかり教育しているからこそ出来ることでしょうが。

ただ1939年製作とかなり古い作品で、白黒かつ画質もかなり粗く、BGMもなく、正直観るのがしんどいところはありました。中盤でストーリーが大きく動くところまでは、集中力がたびたび途切れてしまいました。

「怒りの葡萄」は大恐慌時代のアメリカの惨状、資本主義による搾取などを反映させた社会派映画。当時の人々はこの作品を観て、希望を見出したことかと思います。そしてマー・ジョードが理想の母親像すぎる!

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