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「プロのバナナ」①

「ミユキさんたらフェイスブックで毎日翔太の写真更新してくれるのは嬉しいんだけど、毎日バナナばかり食べさせてるみたいで心配だわ。ひとまねなんとかみたいとはいいませんけど。プロテインが不足してしまうんじゃないかしら。プロセスチーズとかプロシューットを混ぜ込んで食べさせるとか工夫できないのかしら?」
「お義母さん、翔太はバナナならひとりで食べられるんです。もはやバナナのプロフェッショナルと言っても過言でありません。ちなみに私は通信で保育士免許を取得した育児のプロです」
「よくわかりました。所詮私はアマチュアですけど幸い実家はバナナ農園をやっています。甘チュアバナナでよろしければ1カートンほど特急便で送らせてくださいね」

 五月の第二日曜日に毎回繰り返されるやりとりだ。プロのプログラマーに成長したオレはプログラミング言語BANANAを操ってプロジェクションマッピングのなかの母と祖母の姿を再構成する。黄色い体から手を伸ばして。

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