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鳥獣戯画ノリ サルの惑星編

 これは予言の書だ。ノストラダムスよりも早い。溢れる流れの中で私ウサギに過去の記憶がよみがえる。月からここに転落し枝分かれしたサルは我々を臣下扱い、すなわちこれは進化論だ、ダーウィンよりも早い。やがて傍流のカエルどもが武器を手にとり台頭する。ヘソのない腹を見せてひっくりカエル、自作自演か自業自得か? 犯人はもちろん去るサルだ。ウサギの眼の色対カエルの腹の色・紅白戦盛衰記は相撲というスモークでやんわりと、だがウサギの負けは克明に描かれる。おのれサルめ、常に事件の影にサルありだ。でもまさかそんなこと大っぴらに文字で記録なんてできませんよね? これは寓話だ、ジョージ・オーウェルよりも早い。一巻の結末はカエル一族の菩提を弔う出家サルであろうか。だが成立年代と思われる時期にカエルはまだ滅亡していない。ので調伏の祈祷であろう。ノリはどうしたって? 薩摩守忠度は清盛の弟である。無賃乗車(ただ乗り)を隠語で薩摩守というらしい。悪ノリと言われても。

 1999年7月(申の月)に人類は滅亡した。あれから四半世紀。強い夏の日差しのなか今日もカエルたちとの平和なひとときを過ごしている。この幸せが続きますように。ウサギはつぶやいた。

510文字

字数オーバーしました。
全四巻あるうち最初の一巻を元にしました。

たらはかに様のお題に参加しています。

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