スベり高等学校 ①

　キミどこから来たのと前に並んでいるピンクのウエアの女の子に声をかけてみる。ゴーグルで顔はわからないが雰囲気は好みのタイプだ。
「地元民なんです」と答える口調には微かな訛りがあった。へえ、どのへん？　ここら多少は知ってるけどな。すると少し打ち解けて
「昴学園高校って知りませんか？　つい最近まで別の校名だったんですけど、語感が良くないと経営者が変わってからリニューアルしたんですよね」などと言い出すではないか。
「も、もしやキミそこの生徒なの？」自分でも声が上擦っているのがわかった。彼女の口元が歪んだ。
「卒業生なの。校名が変わったせいで誰に名乗ってもポカーンとした反応で。せっかくスキー名門校として全国に名を馳せていたのに。おかげで入学志願者も激減してしまって。これは内緒だけど、学校側は仕方なく卒業のハードルをうんと厳しくしたらしい。進学先が決まっていた同級生も沢山いたんだけど。あら私ったら、つい口がスベってしまったわ」

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たらはかに様のお題に参加しています。