キウイフルーツ農地を襲う謎の病気の正体とは_note3【イタリア】
イタリアのキウイフルーツ農地の1割以上を壊滅させた
謎の病気の正体とは?
早速その謎に迫っていきましょう。
おさらい
前回までの記事で、
この病気(ここでは「つる枯れ症」とします)は
土壌が水浸しの状態を続けた場合のみ発生するということを書きました。
なぜ水浸しの土壌でないと、この症状が起こらないのか?
その謎のヒントになるような論文を見つけたので、紹介いたします。
つる枯れ症を引き起こすもう一つの病原菌
2020年2月、イタリアの農業研究経済評議会(CREA)の研究チームは、
嫌気性細菌であるクロストジウム属菌が、水浸しの土壌でつる枯れ症を引き起こすことを報告しました※1。
CREAって何?という感じですが、
日本でいう農業試験場とか農業技術センターのような位置づけでしょうか。
まあそれは置いておきましょう。
「嫌気性細菌」というところが大きなポイントで、
大雨などで土壌中の酸素が少なくなってくると、このクロストジウム属菌が一気に増殖し、根の周囲にコロニーを形成、「つる枯れ症」を引き起こす、
というわけですね。
病原菌が複数いるの??
さて、前回の記事ではPhytopythium属の卵菌が
「つる枯れ症」引き起こすと説明しました。
で、今回の記事はクロストジウム属菌という細菌が
「つる枯れ症」を引き起こすというお話です。
どうやらこの「つる枯れ症」を引き起こすのは一つの病原菌だけではなく
複数の菌が関わっており、それが事態を余計に複雑にしているようですね。
なんでここまで大きな被害になったの??
しかし疑問なのは、これらの病原菌が
どのようにしてこれだけ広範囲に爆発的な被害をもたらしたのでしょう。
ということです。
ふつうの土壌病害であれば、被害樹を除くなり土壌改良なりをすれば、
ここまでの壊滅的な被害にはならないのではと思います。
しかしそこにはキウイフルーツという植物がもつ独特の特徴がゆえに
これだけの被害をもたらしてしまった理由があるようです。
次回はそのあたりのお話を記事にいたします。
以上、最後までご覧いただき誠にありがとうございました。
参考文献
※1 Savian, Francesco, et al. "Studies on the aetiology of kiwifruit decline: interaction between soil-borne pathogens and waterlogging." Plant and Soil 456.1 (2020): 113-128.
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