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哲学の本を読んでみたら、自分の立場が言語化された話

「哲学と宗教全史」

元々哲学に興味があって、哲学の事をざっくりと知りたかったんですよ。でも本屋に並んでいるのは、哲学と銘打ったどこぞの経営者のノウハウだったり、哲学をビジネスに活かす方法だったり。

私が知りたいのは、「いつの時代に、こんな時代背景があって、こんな人が、こういう事を考えた、というのを時系列にまとめたもの」なんですよ。

できれば西洋哲学・東洋哲学も一本にまとめたものが欲しいと思って。

やっと見つけたのが、この「哲学と宗教全史」でした。

内容はまさに、私が求めていたものドンピシャリで、哲学の入り口にぴったりの本です。(著者は出口さんですが)

紀元前どころが人類発祥のグレートジャーニーの話から始まって、現代までつながる、「考えること」の歴史。

これだけ長い歴史の中で多くの人が色んな事を考えている。その中で1人や2人推し哲学者が現れると思います。

私は韓非とウィトゲンシュタインを「推せる!」と思い、最終的に殴り合った末に友情が芽生えたのはソクラテスとプラトンでした。

韓非は始皇帝の時代の人。紀元前4世紀ぐらいの人ですが、当時から法を重んじて信賞必罰を定め、権力を君主に集中して民を治める事を説いていました。立憲君主制と同じような思想ですね。

韓非のすごいところは、「民を統べる王は道徳的であれ」という、一見もっともだけれどもすごく曖昧だった中国世界に「きちんと法律として、やるべきことをやった人には褒美を出すと保証して、しちゃいけないことをしたら罰すると定め、明文化しましょう」と提言したところです。

語弊を恐れずにいうならば、私個人としては君主制には肯定的なんですよね。少なくとも「絶対悪」とは思えないです。それは明文化されている法律が、民も納得できるものであるという事が大前提ですが。

そういったことで、韓非が推せると思いました。

ウィトゲンシュタインについては、「言葉」に関する考察が感動するぐらいに私と解釈が一致してたからです。

子どもが母国語を覚えるのは、ゲームのルールを覚えるのと同じ。もしもゲームで遊ぼうとするならば、ルールをまず覚える事が大事だ。

例えば「神」について考える時、それぞれの文化が持つ世界観かによって違う。ゆえに、「神」について考える時は「神」だけでなく「god」「deus」など、それぞれの言葉の歴史的背景を知らなくてはいけない。

そうなんですよ。だから私は「いつの時代に、こんな時代背景があって、こんな人が、こういう事を考えた、というのを時系列にまとめたもの」が欲しかったんですよ!

そして、韓非とウィトゲンシュタインの共通点に「吃音者」というのがあります。実はわたしも若干吃音というか、声にコンプレックスがあります。

対面でたわいないお喋りするには平気なんですが、会議とか面接とかすごく苦手で、言葉がとっさに出てこないんですよね。脳内はフル回転なのに。

だから、韓非もウィトゲンシュタインも「言葉」にこだわった理由が、なんとなく解かるんですよね。2人とも、頑張ったんだなぁ……。私も頑張るよ。

そして、ソクラテスとプラトンに関してはですね、名前や名言は知っていたんですが、その哲学があまりに衝撃的過ぎて……。

脳内でゴチャゴチャ考えてたり、いわゆるTwitter学級会が開かれているのを見ると脳内ソクラテス飛んできて「不知を自覚せよ!」と殴ってくるようになったし、プラトンに至っては、「見えないものを見ようとして♪」の状況が全て「それってイデア論じゃね?」と考えるようになったし……。

ちなみに、脳科学的に、人間の目に映るものはすべて脳が補正している姿だから、赤い花を見ているからと言って、本来の色が赤いとは限らないんですって。未来では人間が人間であるうちは不知のままだし、イデアは永遠に見られないって科学的に証明されたよって言ったら、脳内ソクラテスと脳内プラトン泣いちゃった……。ごめんよ、一杯おごるぜ🍶

そんな感じに、いろんな時代、いろんな国の、色んな人の哲学が読める本です。そしてなんとなく知っていた言葉の定義を知る事で、自分の中でつらつら考えていた事が言語化する気がします。

例えば私はどちらかといえば「性善説」の方が支持できるし、それはある程度生活に余裕がある知識階層(現代の中流以上)的な考え方なのだと知りました。

ある意味ニート的な思想かもしれませんw

でも人によっては「性悪説」が刺さる人もいるだろうし、「快楽主義」に救われる人も現代にいると思います。

『4つのイドラ』とか、このSNS全盛期を生きるIT社会人として肝に銘じておきたい概念ですね!

こんな風に自分がこの世界の中で、どういう立場なのか、どういう生き方を望むのか、なんとなくわかって来る本です。


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