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「聴かずして話せず」2021年8月15日の日記

・昨日の日記の続きみたいになるけれど、今日も東京都美術館のアート・コミュニケータが受ける講座、「鑑賞実践講座」の第3回目を受講した。昨日は第2回目。
・アート・コミュニケータや講座の概要についてはこちら↓


・東京都美術館は月曜日が閉室日だけど、お休みというわけではなく、小中高校生たちの見学や、障がいのある方のための特別鑑賞会など、イベント事をやっていることも多い。
・今回は、過去の小学生の見学会でのスタッフと小学生たちのコミュニケーションをビデオに残したものを見つつ、ファシリテートの”いろは”を学んだ。


・印象的だったことは、相手が小学生(高学年)だからといって、過剰な子ども扱いはしていないことだった。
・わたし自身にも経験があるけれど、小学5,6年生の子どもたちは、学校では子どもではなく「お兄さん」「お姉さん」扱いされていて、低学年の面倒を見ることも多い。普段小学校で過ごしている子どもたちは、わたしがついつい思い浮かべてしまう12才像よりも、ずっと大人な価値観で生活しているのだ。


・だからこそ、わたしたちも子どもたちを立派な鑑賞者として尊敬し、信頼する。信頼して誠実な対応を取れば、子どもたちもわたしたちに信頼してくれて誠実な、素直なアクションで返してくれるのではないかと思った。


・子どもたちから出た意見をパラフレーズ(言い換え)することについては、子どもたちが感じているけれども言葉として表現できていない部分を補ってあげると、発言した子どもたちも「自分たちの意見はちゃんと聞かれている、理解されている」と安心することができるし、それ以外の子どもたちと同じ観点を共有することができるので、ここはわたしの語彙を増やすことと「よく聴くこと」が大事だろうなと思った。


・そう、コミュニケーションにおいて重要なのは、語彙や上手なパラフレーズだけでなく、「よく聴くこと」なのである。
・これはアート・コミュニケータの活動をするうえでは都度話に取り上げられることで、この活動を活発化させている根幹的な部分とも言える。
・アート・コミュニケータになりたての4月、わたしたちはまず、今受講している「実践講座」の前に「基礎講座」を受ける。実践講座は選択制なので人により受講するものは異なるけれど、基礎講座は全員が共通して受講する。


・そしてわたしたちが基礎講座で最初に学ぶこと。それは「聴く力」なのです。


・選考を通ってこれからアート・コミュニケータとして頑張るぞと一番意気込んでいるそのときに受講するのが「聴く力」というテーマ。
・どれほど都美館が「よく聴くこと」を重視しているか、そしてこれまで10年間のアート・コミュニケータの活動の中でそのことが効果を出しているかが伝わってくる講座だ。


・音楽もコミュニケーションと同じで、聴いてくれる人がいなければ基本的に成立しない。エリック・サティの「家具の音楽」のようにあえて「意識的に聴かれないこと」を意図して作曲された音楽もあるけれど、それだって「意識的に聴かれない」だけであって、日常生活に溶け込む、家具のように「ただそこにある」こと、つまり誰かの耳に入ることは前提としている。


・聴くことはそれだけ重要な事だと学んだ。
・来月はわたしも小学生の子どもたちに向けてコミュニケーションする機会がある。それまでにこの2日間の学びを反芻して吸収して、自分なりに理解した上で新たな活動に取り組みたい。

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