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「逃げ遅れるタイプの人間」2022年3月16日の日記

・夜中、とても大きな地震があった。


・最初は停電だった。

・23時半ごろ、1人でベッドに座ってスマホを触っていたら、ポッと照明が落ちていきなり真っ暗になった。全ての家電の電源が落ちて、普段音とも意識していない冷蔵庫やら換気扇やらの駆動音も止まり、数秒の完全な無音に包まれた。


・その数秒の無音の中で「え?停電だ。」と思い、消えた照明のあたりを眺めていると、ベランダの向こうから地響きが聞こえてきて、続いて家が揺れ出した。


・慌ててスマホのライトをつけて部屋の照明のスイッチを探してしまったけど、そういえば停電になっているのだったと気づき、揺れもあまりに大きいのでベッドの上でじっとしているしかなかった。

・数分に感じる長く大きい揺れがどうにか収まると、再び完全な闇と無音に包まれた。
・無音と暗さに恐怖を感じて玄関を出ると、近所の人がみんな外に出てきていてひとまず他人の姿を目にしたことで安心した。


・部屋に戻るとまた真っ暗闇と無音なのが怖くて、上着とモバイルバッテリーだけ持ち出して、アパートの共用スペースで他の住人と停電の復旧を待つことにした。

・幸いスマホの充電は満タンだったので、バッテリーは気にせずにTwitterで状況を確認してみると、福島県沖を中心として最大震度6強を観測する地震があり、首都圏でも広い範囲で停電と断水が起きているらしかった。

・停電の影響は大きく、住宅はもちろん、街灯も信号も電源が落ちて、街が完全に真っ暗闇になっていた。


街の様子を確認したくて外に出てみたところ


・ひとまずコンビニに向かってみる人、スーパーの方へ行ってみる人、外で待機している人など色々だったけど、先にそうしたところへ向かっていたアパートの人が「どこもあたふたしてて営業どころじゃなかった」と教えてくれたので、そのまましばらくTwitterを眺めて情報を集めたり、都内に住む友達と安全を確認しあったり、アパートの住人と話したりしながら復旧を待った。


・結局、夜中の1時近くになったところでフッとアパートに照明が戻り、停電が復旧した。インフラ従事者には本当に尊敬の念しかない。

・幸いその後大きな余震はなくなんとか眠ることはできたけど、今日の地震は今の家に引っ越してきてから経験した一番大きいものだったと思う。


・こういう時、1人暮らしは本当に心細い。守ったり助けたりする対象があるか、助けてくれる同居人がいれば、それのために全部の意識を持っていくことができるけど、我が身一つだけだとどうにも「自分の身を守る」ために全力の行動をしようとしても、目の前に現れる身を守る選択肢を前に「どうする!?どうする!?」とパニックと迷いが生じて、思考の矛先を覆いとっさの取捨選択をできなくしてしまう。わたしは逃げ遅れるタイプの人間だろうな。


・翌朝、都内の交通機関はほぼ正常に動いており、難なく会社に出社して、昨晩のあれは夢だったのかと思おうほどにまったくいつも通りの業務を行った。
・世の中は想像以上にタフネスだ。

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