黒柴の来歴 その11
管理職としてのお仕事 その2
※その10の続きとなります
メーカー、SIerとは、そんな契約だったため、まったく時間外労働を管理していないということはなく、少しでも売上を増やすために、稼働報告のための作業時間はきちんと把握していた
ただ、会社が対外的に報告する残業時間に対して、社員にきちんと残業代を支払っているかというと、それは行われていなかった
全く支払わないということはなかったが、当時のプロジェクトだと40~50Hくらいの残業時間だったが、支払っているのは5~10Hくらいだった
理由としては、以前にも書いたが、新卒・第二新卒を大量に採用していて、そのためオーダーのつかない社員(未オーダー)がかなり発生していた
これは、会社の方針として売り上げ額を上げるために、とりあえず社員数を増やて対応したのだと思う
しかし、派遣先が欲しい作業者は、きちんとスキルがあり派遣先の要求に応えられる作業者であり、入社1年目、2年目くらいの社員は、スキルのあるベテランとセット販売のような形でないと、契約することは難しかった
未オーダー社員については、抽象的に考えると稼いでいないのだから給与を払う原資がないということになる
これが、派遣会社なら「派遣先が見つからないから、給与は払えません」で済むが、正社員の場合は稼いでなくても月々の給与の支払いは発生する
そこで、実際の稼働時間で派遣先には請求を行い、社内の稼働時間は超過勤務時間を調整して、その差額で未オーダー分の穴埋めをしていく必要が生じる
つまり、派遣先へ報告する稼働時間 > 社内で給与計算の対象とする稼働時間となっており、稼働時間の不整合が起きている
普段は、こんなことは問題にならない(もちろん、サービス残業を強要することは問題である)のだが、あるとき派遣先と自社に同時期に税務調査が入った
会社間で稼働時間が異なることは、税務調査する担当者も気が付いたようだが、なにぶん国税なので追及の方向性が違っていた
これを「(自社が)サービス残業を強要している」という労働事案ではなく、「派遣先が請求された稼働時間を改ざんして、経費の水増しをおこなった」脱税事件だと判断したのだ
そのため、自社ではなく派遣先に厳しい追及が入った
しかし、派遣先は自社からの請求通りに支払いを行っており、経費の水増しをしている認識はまったくない
そして、この件について派遣先から問い合わせがきて、ようやく自社も取引先が濡れ衣で追及されていることを認識した
もちろん、「サービス残業云々が原因で」と自社としては報告できないので、「稼働時間管理の不備で」と報告し社印の入った始末書を専務名義で提出した
なぜ、こんなに詳しいかというと、その問い合わせが来たのが、黒柴が管理していたプロジェクトだったからで、お詫び文を持参して派遣先に頭を下げに行ったもの黒柴自身だからである・・・