見出し画像

短い勉強時間で同じ結果を得る方法の1つ

先日の中学の数学の授業の中で、ポイントを絞るやり方を教えました。今日はその点を取り上げたいと思います。


パターン演習のメリット・デメリット


数学の勉強というと、たくさんの問題演習を行い、解き方(手続き)を教えてもらって覚え、できるようになるというスタイルが一般的です。私はそれをパターン演習と呼んでいます。


大量の問題を演習する中で覚えていくという方法は、方法自体に問題はありません。パターンに合った問題であれば、やるだけ点数が上がるというのが最大のメリットです。あまり考えずに取り組めることもメリットです。


でも、このやり方のデメリットもあります。それは、受け身のパターン演習は自分で考える力をスポイルする危険性があるということ、やったことのないタイプの問題が出た時に対応できない場合があること、そして、すべてのパターンを網羅しようとするととても時間がかかることです。そのため、このやり方が合わない子もいます。


やり方が合わない子に対して、管理をして無理に覚えさせることは詰め込み教育と言われます。後になって問題を引き起こすこともあります。


計算が周りより少しできるようになることと引き換えに、勉強に対するアレルギーをうえつけてしまい、結果的に成績も下がることになったらとしたら、本末転倒です。


逆に、計算が周りより速くできることで、変な優越感を持ってしまったら、周りからみて嫌な子に見えてしまいます。そういう子が中学に入って急に勉強ができなくなると、劣等感から抜け出せなくなることもあります。


それでは効果の大きいやり方とはどんなやり方でしょうか?



演習の必要がある問題を意図的に多く解く


脳の仕組みを理解して勉強することなども推奨しておりますが、ほかにもいくつかあります。今日はその一つをご紹介します。


それは、演習の必要のある問題を把握し、意図的に多く演習するというやり方です。


ここでいう必要のある問題というのは、試験に出る問題という意味ではありません。問題演習があまり必要のないパターンを除いた問題ということです。


1つ簡単な例をご紹介しましょう。


中学生になって多くの子が最初につまづくのは、正負の数の計算です。そこで2数の正負の数の加法と減法を考えてみましょう。


ー53 + (ー31)

ー111 ー (ー23)


などの問題です。


これらの問題のパターンがどのくらいあるかを考えてみましょう。(2数は0以外の整数とします)


絶対値の大きい数と小さい数の順番、それぞれの符号(+ー)、そして、加法と減法のパターンを考えると、組み合わせは16パターンあります。


一般には、この16パターンのどの問題が出ても解けるように、数字や符号を変え、ランダムにたくさんの問題演習をして、やり方を覚えるわけです。少数や分数が入れば、さらに多くのパターン数になっていきます。


しかし交換法則を利用すれば、

ー32 + (+27)

27 ー 32

は同じことです。


また、

32 + (ー27)

などはカッコを適切にはずせれば小学校で習う範囲です。ほとんどの子ができるこのような問題は、学校の授業中にやるくらいの必要最低限の演習で十分です。


すると16パターンある中でも、中学で初めて学ぶのは2パターンに絞られます。


たくさんのパターンの問題を演習し、この問題はこう解く、この場合はこう、というように解き方を覚えなくても、最初にポイント(本質)をおさえ、きちんと分類すると、大幅な勉強の効率化につながるのです。シンプルにすれば、理解しやすいというメリットもあります。


このことは特に高校以上の勉強では大切です。問題のパターンが多いため、すべてのパターンを覚えるわけにはいかないためです。


その代わりに、単元の内容を自分で分析し、ポイントやパターンを見つける練習をするほうがいいと考えています。この「個別事象から法則を導き出す思考力」を帰納的思考力といいます。前回の記事でもご紹介した論理的思考力の一つです。


もちろんいきなりこれができる子はいません。やり方を教え、その上で徐々にできるようになるための段階的なサポートが必要となります。


私は教科書に書いてある問題の解き方は自力で読み取れるようになることが大切と考えます。いつまでもそばで誰かが解き方を教えてくれるわけではないですし、教科書に書いてある解法の手続きは、きちんと文章を読みとれれば誰でもわかるからです。


逆に、教科書には書いていない知識の背景となるしくみやポイントを教えたり、考えてもらったりすることは、大人のサポートが必要です。


何が大切かを自分で考え、学習プランを考える力を身につける。そのためには、昔ながらのパターン演習というチカラ技だけに頼るのではなく、勉強のやり方自体を改良していく必要があると考えています。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?