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遊びながら論理的思考力をみがく方法

休校により暇を持て余していた子供達。


うちもご多分にもれず、暇を埋めるため映画を観たり、料理をしたり、工作をしたり、少し難しいパズルをやったりしていました。


その中で、4才になる下の子がハマったのがトランプの大貧民(大富豪)というゲーム。


そして、このようなゲームは論理的思考力を鍛えるのにいいのではないか、と思うのです。


最近教育の世界でも「思考力、思考力」と言われています。


今のところ、問題を解いたりしながら、座学の中で思考力を磨くというのが一般的なのかもしれません。しかし、そこにおもしろさを感じない子も多いことでしょう。


また、正解が必ず1つに決まるドリルを早く解くパターン練習では、状況に応じて手を変えるといった戦略的思考はなかなか身につきません。


そのため、遊びながら思考力を磨く方法があればそれにこしたことはないと思うのです。


でもまず、そもそも「思考力」とはなんでしょうか?


誰でも常に何かしら考えながら生きているものですが、「思考力」とは何かと問われると、当たり前すぎてむしろわからない、という面もあると思います。


世の中では、論理的思考力、演繹的思考、帰納的思考、弁証法、クリティカルシンキング、ラテラルシンキング、アブダクション、デザイン思考、メタ思考、アナロジー、PAC思考、コンセプチュアル思考、創造的思考などなど、似たようなものも数えると、たくさん提唱されています。


私としては、既知の情報から筋道を立てて考えていく「論理的思考」の仲間と、直感なども利用し新しいものを生み出す「創造的思考」の2つに分けて考えるといいと考えています。


もちろん、ジェームズ・W・ヤングによる「アイデアは既存の要素の新しい組み合わせ」という説によれば、創造性も既存の知識から生み出せるものと言えるかもしれません。


また、直感というのも、脳内では、膨大な経験と知識が無意識に瞬時に組み合わさることにより生まれているのだとすれば、単に論理的思考の時間が極限まで短縮されただけということも言えるため、思考力の本質は1つなのかもしれません。(思考法の分類については、どの抽象度で、どの観点で分けるかによって変わるため、この問題はまた別のところで考えてみたいと思います。)


さて、話を大貧民に戻しますが、このゲームの特徴は、以下のようなものです。


1. どの数がどの数よりも強いなど、数の大小の理解が必須。(4才がやるには最初の関門)

2. 何を出して、次に何を出し、その次はどう出せば勝てるか、最悪大富豪にならないまでも、大貧民を回避するにはどうするかといった戦略性が要求される。

3. 誰がどの程度強いカードを持っているか、その時々で場に出されたカードやパスのタイミング、周りの人の性格、表情や口調から想像する必要がある。

4.  さまざまなローカルルールがあり、それによって戦略が複雑になる。

5. 周り人の出すカードによって状況が変わり、常に自分の出したいカードが出せるわけではない。状況の変化に伴い、瞬時に戦略変更が余儀なくされる。


私も高校時代にクラスの友達と5、6人でハマって毎日休み時間にやっていました。お好み焼きをかけて本気でやるときは、場に出たカードについて、可能な限り多く誰がいつ何を出したかを覚えておく必要がありました。そして、複数の友達の性格や過去の傾向をふまえながら、このタイミングでこのカードを出した、パスをしたなどの情報から、皆のカードで何が残っているか、ではどう出すか、こちらの戦略が潰された場合はどうリカバリーするか、などいろいろ考えて手を打たないとなかなか勝てないため、ひどく疲れたことを覚えています。


正解がなく、状況によって最適解が変わるという意味では、非常に単純化されてはいますが、社会に出てから遭遇する仕事の世界の縮図ともいえるかもしれません。


そういう奥の深いゲームだと思いますが、4才の子でも、これを出して、次にこれを出して、というのを考えながらやっているのです。


もうすでに私も配牌(持ち札)が悪いと4才の子に負けてしまいます。


小学4年生の上の子などは今や、私が一瞬出すのを躊躇したのをみて、「ジョーカー持ってるけど、他にこのくらいのカードが残ってるから今は出せないんだな。ならこれは切れないでしょ。」とかやってきます。


お子さんの性格によって、このようなゲームに興味を示す示さないというのはあると思いますが、必ずしも思考力は勉強の中だけで身につけなくてもいいと思うのです。


サッカーをやりながら、こういう状況の時にはこういったフォーメーションで、もし失敗したら、この戦術を使おう、などといったやり方で思考力をつけるのもありかもしれません。


特に小学生までは、興味の持てるゲームで思考力を磨くことをいろいろやってみるといいのではないかと思うのです。


そしてそれは勉強にも生かせるのです。


例えば、高校入試の数学の問題では、方程式や関数、図形の融合問題が出たりします。


こういった問題は、最終的な答えを得るために、どの法則や条件を使うか、何と何を求めないといけないか、そしてさらにそれを求めるには何がわかっていないといけないかなどと考える必要があります。


そしてそのためにたくさんある図形の性質の中で何を使うかなどを、素早く頭の中で当てはめて試行錯誤し、瞬間的に判断して戦略(解き方の筋道)を立て、いけそうだと思ったら実際に計算をしていく、ということが必要となります。


この戦略を立て、頭の中で試行錯誤するというのは大貧民のようなゲームと似ていると思うのです。


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