歴史は繰り返すことないが、韻を踏む。

10年ぐらい前にリーマンショックを経て、日本の未来を見つめていたときに、私も同じような歴史のリズム感(周期性)があることに気づました。30年の破壊期と30年の繁栄期を近代化した日本が繰り返していることに。

30年:30年の陰陽を繰り返す60年。60年は還暦でもあり、干支も12年X5回=60年です。


まず1990年をバブルのピークと考えると、1960年~1990年はJapan As Number Oneと言われた高度成長時代です。人口が多い団塊の世代が社会進出して日本の成功体験を築いた時代です。繁栄の30年がありました。

では、その前の30年である(1930年~1960年)は日本が世界戦争へと進み敗戦した時代です。破壊の30年です。多くの人々の悲劇、物質的な被害があった悲しい時代でありましたが、このグレート・リセットがあったから、次の時代が繁栄できたという因果関係もあるかもしれません。

その前の30年である、1900年~1930年の冒頭に日露戦争がありました。こちらの戦争で日本は当時の先進国へ仲間入りしたというメッセージを発しました。また当時の日本の歴史において、一般市民が最も豊かな日常生活を送っていた時代でありましょう。繁栄の30年と言っても良いと思います。ただ、繁栄が続くと、人の心が傲慢になる傾向もあります。だから、次の時代の破壊を招いたのかもしれません。

そして、1870年から1900年の30年間。日本は封建国家である江戸時代の常識をグレート・リセットして近代化社会へと進みました。これも破壊の時代でありましょう。

かなり乱暴で、大雑把な時代の振り返りですが、明治維新以降、日本は30年の破壊を経て、30年の繁栄があった。そして、また30年の破壊を経て、再び30年の繁栄に恵まれた。ただ、1990年以降、日本は「失われ時代」に入ったと言わるようになりました。

しかし、このリズム感が続いていると考えると日本は失われた時代ではなく、破壊された30年という時代に入っていた。そして、このリズム感が更に進み続けるのであれば、2020年以降、日本は新しい時代、繁栄の30年に入るということが言えます。

そういう意味で、1年前に2020年を迎える年始に、私は日本が新しい時代に入ると、わくわくしていました。しかし、気になっていこともありました。過去の破壊の時代と比べると直近の時代の破壊が物足らないことでした。

そうしたら、新型コロナ・ウイルス感染のパンデミックが世界中に広まりました。戦争とは異なります。でも、戦争の時代でも、世界が同じタイミングで全て止まったということはなかったのではないでしょうか。過去の常識がグレート・リセットされました。

もちろん、10年前に自分は2020年にコロナ禍が世界中に広まることが予見できた訳ではありません。しかし、ある現象を見て、2020年は日本の時代の節目になると思っていました。

昭和時代のプラミッド型人口動態が、平成時代ではひょうたん型になり、その形がそのまま上にスライドしていきました。ただ、2020年を節目に、その前の10年20年と、その後の10年20年は社会の変化のスピードが著しく高まります。ひょうたん型人口ピラミッドが一気に逆プラミッドになるのです。

つまり、日本全国で世代交代が規模的にも加速する時代に突入し、過去の成功体験を持った世代が次の成功体験をつくる世代へとバトンタッチするのです。

成功体験は重要です。ただ、レガシーとして変化への弊害にもなることもあります。過去の成功体験を持っていないからこそ、それに捕らわれる必要なく、新たな時代の価値観によって、新たな成功体験を築ける世代へにバトンタッチする日本。そこには、繁栄の可能性があると私は思っています。

そういう意味で、私たちが新しい日本を拓くために期待すべきDXとは実は「デジタル・トランスフォーメーション」ではなく、「デモグラフィック・トランスフォーメーション」かもしれません。

著名な作家であるマーク・トウエインが残したと言われる名言があります。History doesn’trepeat itself, but it does rhymne。歴史は繰り返すことないが、韻を踏む。日本は2021年以降、新しい時代に入る。60年前の1961年に坂本九の「上を向いて歩こう」が大ヒットしました。このリズムも繰り返しましょう。

#日経COMEMO #NIKKEI

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