「資本主義と闘った男」と「日本の資本主義の父」

宇沢先生の思想は50年ぐらい早かった、と私は思います。そして、宇沢先生を呼び起こしているのは、まさに時代の変化です。

また時代が激変する現在において、企業の環境的(E)と社会的(S)なインパクトと会計制度に反映する研究が進んでいるのは記事が指摘したとおりです。Impact Weight Account Initative

「ESGの次の時代の流れが始まっている」と教えていただたのは、ちょうど1年ぐらい前、UNDP(国連開発計画)のSDG ImpactのSteering Groupに出席したきに、委員として語ご一緒しているロナルド・コーエンさんでした。英国のベンチャーキャピタルの草分け存在であり、現在では「インパクト投資」の父と云われています。

会計制度の常識とは、ショックのときに新たな流れができているとコーエンさんは指摘しています。現在の会計制度の「当たり前」は、米大恐慌というショックが原因でした。現在は、コロナというショックがあるので、将来の会計制度の「当たり前」の新たな流れができたのは、今であるというコーエンさんの訴えに納得できます。

しかし、企業に社会的費用があると指摘されて宇沢先生は、その「当たり前」について50年ぐらい前から意識されていました。そのお考えの延長として企業は、環境的・社会的な「費用」だけではなく、「収入」もあると展開しているのです。

また、活躍した時代は異なりますが、渋沢栄一のリバイバルも同様です。記事でご紹介いただいように、栄一の「論語と算盤」と宇沢先生の「社会的共通資本」に共通点を感じます。それは、人間にとって大切なもの、「価値」があるものは、こころ。

渋沢栄一は「合本主義」によって豊かになる社会を目指しました。宇沢先生は「コモン」(共通)に着眼されました。豊かな社会を目指す人々が集まるところです。

20世紀にフリードマン先生は「利益の最大化」を主張しましたが、21世紀は宇沢先生と渋沢栄一の思想を「価値の最大化」と解釈できるのではないかと考えます。

「資本主義と闘った男」とも云われる宇沢弘文先生と「日本の資本主義の父」と云われる渋沢栄一の思想が、「資本」「成長」「時間」などをどのように捉えていのか。二人の思想の関係性をもっと深掘りしたいと思います。

2月24日に以下のオンライン・セミナーを開催いたしますので、是非とも、ご参加いただき、一緒に考えてみましょう。


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