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12日目:こだわりを生かすも殺すも自分次第

フェネック文章力向上月間
Day12 こだわりたいこと


五感――特に聴覚と触覚――に過敏性のある私にとって、他の人から見れば些細でもこだわりたいことはいくつもある。
例えば、柿の種は右奥歯と左奥歯で同じ量食べたいだとか、寝るときは真っ暗にしておきたいだとか、夫と一緒にいるときは常に左側をキープしたいだとか。

この種のこだわりは、疲れていればいるほど欲求が強くなる。
普段は気にも留めないが、心身に疲労が溜まると髪の毛が一本でも体に触れている状態が許せなくなる。そういうとき、私は一心不乱になって髪の毛が他の箇所に触れないようにお団子結びをする。最近は簪でくるりと丸めれば理想の状態に仕上がるので、とても重宝している。


昔はこの手のこだわりを共有できる人間がいなかった。
唯一話したことのある母親からは、度々「そんなこだわりがあるなんて面倒だね」と呆れられていたから、きっと私がおかしな人間なんだろうと考えていた。

けれど、昨今のHSPブームによりこのような「生きづらさ」が表面化するようになり、私のような人間が他にもいるとわかり、励みになった。
医療用語ではないなど諸問題はあるようだが、私はこういった形で「生きづらさ」を可視化できる、という上では、HSPブームに意義はあるんだと思う。


こういったこだわりを利用して、自分をケアする方向に転換したものもある。

例えば、私は周囲のヒリついた空気を肌感覚=触覚で感じている。
職場で不穏な空気になったとき、席を立って物理的に離れられれば一番良いのだが、なかなかそうもいかない。
そのときに役立ったのが、お気に入りの匂いのハンドクリームを塗ることだった。肌に一枚バリアを張ることで、不穏な空気から自分を守ってくれるような気がしたのだ。

また、大好きな紅茶の淹れ方にも自己流のこだわりがある。
茶葉で淹れた場合、ジャンピング(熱対流による茶葉の上下運動)をさせた方が断然美味しい。だが私は渋い紅茶が苦手で、多量淹れた場合、二杯目以降が渋くなってしまう、というジレンマがある。なお、紅茶の本場イギリスではその対策のために差し湯を用意するらしいが、差し湯で薄めた紅茶も私は苦手なのである。
そのため、わざわざティーポッドを二つ用意することにした。一つ目のティーポッドで抽出が終わったら、すぐに茶こしでこしながら二つ目のティーポッドへ移し、それ以上の茶葉の抽出を防いでいる。こうすることにより、私は安心して美味しい紅茶を味わえる。
渋くならない紅茶は、それだけで私を上機嫌に保ってくれる。


紅茶のところで少し話しすぎてしまったかもしれない。

まとめると、私のこだわりの多さは生来的なものも多く、大抵枷になりがちのものだが、そのこだわりとうまく付き合って自分の調子を上げていく方向に持って行ければ強い味方にもなってくれる。

休職前までは、自分のこだわりを押し殺して仕事を優先することもままあった。
じっくりと休める今こそ、自分の声を大切に掬い上げていきたい。

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