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甘やかなる誘惑

その渇望は、ふとした瞬間にやってくる。

例えば、スーパーやコンビニにいるとき。
気の重かったタスクを達成できたとき。
誰かに嫌なことを言われて凹んだとき。

日常の何気ない瞬間に、ヤツは忍び込んでくる。
そして私の耳元で囁くのだ。

「甘いものが食べたい」と。


すぐ甘味が買える状況であれば、九割方欲望に負けてしまうのだが、スーパーやコンビニが近くにないときの葛藤は凄まじいものがある。
甘いもの食べたい。でも買いに行くのはめんどくさい。
その天秤の間で、私はゆらゆら揺れている。

加えて、私は一応ダイエット中の身なのだ。
そうやすやすと誘惑に負けてはいかんだろう、と普段誘惑に負けっぱなしであることを棚に上げて、誘惑に抵抗し始める。

こうなると、大抵買いに行く面倒くささが勝って甘いものを我慢するのだが、このときほど甘味を渇望する瞬間はない。
このときに思い浮かべる甘味は、きっと実物よりもずっと甘くて、おいしくて、魅惑的な何かだ。

シュークリームにチーズケーキ、アイスにプリンにエクレア……数々の甘味たちが私の周りをぐるぐるぐるぐる回っている。
私は、さっきの決断が重大な過ちだったような気がしてきて、今すぐにでもコンビニに駆け込みたい衝動に駆られるのだった。


今回は、友人より「甘いものか食べたいけど食べられないときの気持ち」というお題をもらったので、それに沿って書いてみた。
これを書いている今も甘味の誘惑に負けそうになっているが、なんとか頑張って勝ち抜きたい。

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