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コメダ珈琲といきなりステーキ、なぜ店舗毎の利益を分析するのか?

今回は「コメダ珈琲」と「いきなりステーキ」の株式を分析したいと思います。

企業の業績は億単位ですので、見ていてピンとこない方もいるかと思います。そこで1店舗ごとの売上高と利益を見ていこうと思います。もちろん個人の家計に比べればはるかに大きい数値ですが、理解しやすい数字になるかと思います。


コメダ珈琲とは?店舗を増やす理由は?

コメダとは、名古屋発祥の喫茶店チェーンです。

喫茶店チェーンではありますが、コーヒーだけが有名というわけではなく、
軽食メニューの量が多く、全然軽くないということで有名です。

コメダ珈琲だいすきクラブ

写真の通り、全メニューが逆サギと言われており、メニュー表の写真より量が多いものが届きます。今回はそのようなコメダ珈琲を運営するコメダホールディングス(3543)の業績を詳細に分析したいと思います。

コメダに限らず飲食店では、1店舗あたりの客単価と利益が重要となります。飲食店では、1店舗だけで利益を増やし続けることは出来ません。店舗の席の数は決まっており、席の数以上に客を入れることはできないからです。

一方で、お客さん一人あたりの支払い額を増やすことは難しいです。例えばランチ一人あたりの支払い額が500円~1500円だったとします。そのようなお客さんに1500円~3000円の注文をして頂くのは簡単ではありません。

となると利益を増やすためには、店舗数を増やして客数をを増やす必要があると言えます。

栄光とその後の苦戦、いきなりステーキ

なぜ「いきなりステーキ」を取り上げたのかですが、それは、華々しい急速な出店と売上増、その後の苦戦が雑誌系の情報サイトでも取り上げられるほど知名度があるためです。

「いきなりステーキ」は低価格ステーキ、立ち食いステーキを特徴に、2013年12月にオープンしました。オープン後、毎年急速に新店をオープンして、2019年には490店舗を運営していました。しかしその後は苦戦が続き、店舗数を徐々に減らしていくことになります。

急速に店舗と売上を増やし、しかし赤字となってしまった流れを、会社全体の売上高・利益、店舗ごとの売上高・利益ととも見ていきたいと思います。

ペッパーフードサービスの売上高・営業利益・純利益は?

まずは「いきなりステーキ」を運営するペッパーフードサービスの年間の売上高を、2011年12月期から12年間に渡って見てみましょう。

2014年から急速に売上を伸ばし、2019年12月期がピークとなっています。その後の2020年以降は売上高が下がっていますが、これはコロナの影響ですね。

続いて、営業利益と純利益を見てみましょう。

  • 営業利益とは、一言で言えば「本業の利益」です。預貯金や貸付金の利子、有価証券の配当金などの営業外収益を含まない利益となります。

  • 純利益とは、営業外収益や税金の支払い、特別損失など、全ての費用を差し引いた後に残った利益のことです。

  • 特別損失は、不採算店舗の整理などで発生する事があり、いつ発生するかは経営状況によって異なります。

ペッパーフードサービスの営業利益は2011年~2018年まで右肩上がりで増え続け、2019年以降は赤字に転じています。営業利益の方は、売上高の伸びとほぼ同じ形で伸びています。

しかし純利益の方は、利益が前年より減る年があります。2014年12月期と2015年12月期の決算短信を見たところ、特別損失や税金支払い額の影響で、2015年の純利益は前年より減っています。2017年12月期と2018年12月期も同じです。

いきなりステーキ・ペッパーランチの1店舗ごとの売上高は?

続いて、ペッパーフードサービスの1店舗毎の売上高を見ていこうと思います。今回は、ペッパーランチ、いきなりステーキ、その他レストランの3つの店舗数を合計して、会社全体の数値を割って、1店舗あたり売上高を計算します。

いきなりステーキの初年決算、2014年12月末の売上高は2376万円、営業利益は156万円、純利益は136万円でした。

その後は店舗数が伸びると同時に、1店舗あたりの売上高も伸び、2017年12月末の売上高は5531万円、営業利益は351万円、純利益は203万円となっています。ここまでは順調に利益を伸ばしてきました。

さて問題の2019年です。

会社全体の売上高は2018年は635億円、2019年は675億円と増加しています。しかし1店舗毎で見ると、2018年は7192万円、2019年は6536万円と、減少しています。

1店舗ごとの売上高が前年(2018年)に比べて1割弱減少して、営業利益と純利益がともに赤字化しています。

この点から見て筆者の意見ですが、売上高が少し減少しただけで営業利益がマイナスになってしまう、損益分岐点の高さが問題であったと思われます。

このように、会社全体で数百億円の売上高を見るよりも、1店舗毎で数千万円の売上高を見たほうが、見えてくるものがあるかと思います。

続いてコメダ珈琲店を運営するコメダホールディングスを分析していきましょう。

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