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シャープで70億円の営業赤字、決算資料(IR)と株価を読み解く

時事ニュースで名前が挙がった企業を分析していきます。

今回は営業赤字70億円の発表があったシャープを取り上げます。

2023/8/4
シャープ 70億円の営業赤字 液晶パネル事業の不振など

シャープのことし6月までの3か月間の決算は、液晶パネル事業の不振が続いたことなどから、70億円の営業赤字となりました。会社では経営改善に向けた計画の策定など黒字化に向けた取り組みを急ぐ方針です。

エアコンや洗濯機といった家電の売り上げは好調だったものの、パソコンやスマホ向けなどの液晶パネルの需要の低迷が続いたことが、営業赤字の要因だということです。

NHK

2023/8/4
シャープ純利益80%減 4~6月、液晶パネルの赤字続く

シャープが4日発表した2023年4~6月期の連結決算は、純利益が前年同期比80%減の55億円だった。23年3月期の赤字転落の主因となった液晶パネル事業の苦戦が続いているほか、テレビや冷蔵庫など一部家電の市況悪化も影響した。営業損益は4~6月期としては7年ぶりの赤字を計上した。

営業損益は70億円の赤字(前年同期は61億円の黒字)。前期に巨額赤字の要因となった堺ディスプレイプロダクト(SDP、堺市)を含む液晶パネル事業が173億円の赤字を計上した。

日本経済新聞

シャープの事業領域と2023年3月期決算

シャープといえば、エアコン、冷蔵庫、洗濯機、テレビ、扇風機、ドライヤー、空気清浄機などの家電が有名です。

まず2023年3月末の決算資料によれば、年間の売上高は2兆5481億円となっています。

次に、シャープが展開する事業(セグメント)ごとにどのくらいの売上高、利益があるか見てみましょう。

有価証券報告書2023年3月

スマートライフ
売上高4687億円、セグメント利益282億円
(冷蔵庫、電子レンジ、エアコン、洗濯機、空気清浄機など)

8Kエコシステム
売上高5918億円、セグメント利益134億円
(テレビ、ブルーレイディスクレコーダー、デジタル複合機など)

ICT
売上高3258億円、セグメント利益-55億円
(携帯電話、パソコン、タブレット端末など)

ディスプレイデバイス
売上高7599億円、セグメント利益-665億円
(ディスプレイ部品、車載カメラなど)

エレクトロニックデバイス
売上高4756億円、セグメント利益148億円
(カメラ部品、センサー部品など)

これを見ると、ディスプレイデバイス事業が赤字で、シャープ全体が赤字になっている事が分かります。

シャープの2023年6月の四半期決算

続いて、今回の決算発表(2023年6月末、第一四半期)を見てみましょう。

まず四半期(4月~6月の3ヶ月間)のシャープ全体の売上高は、5412億円です。

シャープ 2023年6月四半期 プレゼンテーション資料

前年の年間売上高が2兆5481億円なので、その約1/5となっています。

しかし前年の四半期毎の売上高によると、Q2(7月~9月)とQ3(10月~12月)が高くなる傾向にあります。また前年のQ1(4月~6月)は5621億円の売上高があるため、今回の5412億円は誤差の範囲と思われます。

そして前年赤字のディスプレイデバイス事業ですが、今回のQ1でもセグメント赤字となっています。

その赤字は、他の事業(セグメント)の黒字を食い潰しているようです。

シャープ 2023年6月四半期 プレゼンテーション資料

液晶パネル赤字、シャープの株価は?

営業赤字は当然困った問題です。

しかし2023年6月の四半期決算で初めて明るみになった問題ではなく、前年から知られている話です。

決算発表は8/4(金)の15時以降でしたから、今はまだ株価の動きはありません。

Yahooファイナンス

次の3ヶ月間でどのように株価が動くか、今後も時々見ていきたいと思います。

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