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【本と私の話📚】

私の中の"この世で好きなものランキング"BEST5には入るであろう『本』。
本は私をいつも素晴らしい世界に連れて行ってくれるし、まだ見ぬ知らないことを沢山教えてくれる。
そして私を孤独から救ってくれたのも、本でした。
読書の秋とも言われるこの季節。
今日はそんな"本"と"私"のお話しです。


小さい頃から、母がとても沢山の本を読み聞かせさせてくれていて、子供ながらにそれが凄くワクワクとした幸せな時間だったのをいまでもはっきりと覚えています。いつもすぐ近くに本がある暮らし。両親には感謝しています。

はっきりと本が好きだと自覚したのは小学校4年生の時でした。以前に少しお話ししたかと思いますが、当時通っていた千葉の小学校では、毎朝10分間読書という時間があり(確か朝礼から1時間目が始まるまでの10分間)、図書館から好きな本を借りてきて各自読むわけです。
まだ、そんなに読書にのめり込んでいない頃から、この図書館という場所が私は大好きでして、数え切れない程の本の中から1冊の本を選ぶというのがまるで宝探しのようで楽しくて仕方がなかったのです。

そんなある日、いつものように本を探していると運命の1冊に出逢います。
この本に出逢ったことで私はどっぷりと読書の沼にハマっていくことになるわけですが…
その1冊とは、かの有名な
芥川龍之介さんの『蜘蛛の糸』です。

"ある日の事でございます。御釈迦様は極楽の蓮池のふちを、独りでぶらぶら御歩きになっていらっしゃいました。池の中に咲いている蓮の花は、みんな玉のようにまっ白で、そのまん中にある金色の蕊からは、何とも云えない好い匂いが、絶間なくあたりへ溢れて居ります。極楽は丁度朝なのでございましょう。"
芥川龍之介 『蜘蛛の糸』


この『蜘蛛の糸』というお話しは1918年に児童向け短編小説にて発表されたもの。
童話だったのか!!と後で知ってびっくりするわけですが、だから小学校の図書館にあったのね…と妙に納得したりもしたわけです。何故なら後に全て読んだ芥川作品は難しいものが多かったもので、いろいろな事が腑に落ちました。

果たして当時小学校4年生(推定9歳)の私は、このお話しの何にそんなに心を鷲掴みにされたのか…もう既にお寺をこよなく愛する寺女だった為、お釈迦様と蓮池の冒頭部分に惹かれたであろうことは間違いないのですが。
綺麗な極楽浄土の描写から始まり、慈悲の心、人間の愚かさや浅はかさ、そして儚さなど様々な感情が書かれているにも関わらず、最後はまた変わらぬ極楽浄土の様子が描かれている『蜘蛛の糸』。執着しない美しさに惹かれたのかもしれません。
何度も何度も繰り返し暗記できる程に読んで、本を読み込むことの楽しさを知った1冊です。
自分のことながら変わった小学生ですね。。。


さて、そんな運命の1冊と出逢ったことにより私は読書の虫となっていくわけです。
一体今まで何冊読んだのでしょう。
本を読んでいる時間は、何にも縛られない自由な私だけのひとりの時間。かけがえのない時間です。

よく「どんなジャンルが好きですか?」と聞かれるのですが、読むジャンルは小説に始まり、文学書に哲学書、辞書も大好きですし、漫画も雑誌も読みます。本当にオールジャンル。気になったものをどんどん読むので、物凄い雑食です。
本の香りやページを捲るのが好きなので、写真集やアート集も好きだったりします。
拘りがなくてなんだかすみません。
有り難いことに「オススメの本を教えて欲しい」ともよく言われるのですが、非常に難しい…
でもせっかくこんなに素晴らしい発信の場があるので、たまには読んだ本のお話しもしていければ良いなと思っております。

今日は最後に数ある本の中からお気に入りの1冊を紹介して終わりにしたいと思います。
大好きな本や大切な本はまだまだ沢山あるのですが、何故かいつも近くにあるそんな1冊です。

京極夏彦『書楼弔堂 破暁』
読み込みすぎてだいぶ味が出ております。

20代前半~30代にかけて、京極夏彦さんの妖しい世界観にのめり込んでいました。
京極作品は大体どれも分厚く超大作。全作品を網羅しましたが、その中でも今も定期的にページを捲ってしまうのが上の写真の『書楼弔堂 破暁』。
「読まれぬ本を弔い、成仏させるが 我が宿縁」
本は墓場だという店主の営む店、書楼弔堂。
古今東西の書物が集まるこの店に、自分だけの一冊を求め"探書"に訪れる迷える人達が店主との対話を通してかけがえのない本に出逢う物語です。
明治20年代が舞台で、実在した人達も登場するので現実か空想かわからなくなる感じも良いのです。

この本の中で弔堂の店主が言った
『本は、幾らあっても良いもの。読んだ分だけ世間は広くなる。読んだ数だけ世界が生まれましょう。でも実のところはたった一冊でも良いのでございますよ。ただ一冊、大切な大切な本を見付けられれば、その方は仕合わせでございます。』
『本当に大切な本は、現世の一生を生きるのと同じ程の別の生を与えてくれるのでございますよ。ですから、その大切な本に巡り合うまで、人は探し続けるのです。』この言葉がずっと心に残っています。
私の探書もまだまだ続くことでしょう。

とても面白いですが、決して読みやすい本ではないので、全員の方にオススメとは言えませんが…
興味のある方は是非読んでみてください。


本の話しになると、やはり長くなってしまいまして…どうもすみません。
ただの本好きが語る佳い本のお話しに、最後までお付き合い頂き本当に有難うございます。

私の人生は間違いなく、本によって豊かになりました。そしてこれから出逢う本もまた、私の人生を豊かにしてくれると信じています。

それでは、また来週月曜日に✩࿐⋆*

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