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フランス発「つながらない権利」でも・・・つながりたい?!

「休日ぐらい仕事を忘れての~んびりしたい!」

これ、殆どの人が思うことではないでしょうか?

こういう想いが届いたのかフランスでは、2017年より”つながらない権利”が施行されることになりました。
この権利が施行されるのは従業員50人以上の会社で勤務時間外の従業員は仕事メールをログオフ出来るというもの。
会社によっても様々ですが、夜18時以降の仕事メールやSNSによる上司からの指示などを完全シャットアウトしても良い。ただ、企業側がそれを守らなくても特に罰則・罰金のようなシステムはまだ存在していません。

今迄からフランスでは21時~翌朝6時までの就労を厳しく制限していたりと非常に労働者の権利を守って来ました。

つまりとっても労働者への保護が手厚い国だという事!

これが”バカンス大国=フランス”などと言われる所以なのでしょうね。
バカンスをこよなく愛しているフランス人たちはこの法令が出来たことでさぞかし喜びましたとさ。The end。
・・・となるはずがそうでもないようなのです。

ある弁護士カップルの場合。
お互い忙しくなかなか一緒の時間が取れないため、やっと取れたバカンスでは仕事を完全シャットアウトして、二人の時間を満喫しよう!と決めました。
弁護士の彼の方は「男たるもの、一度決めたことはやり通す」となんとかネット断ち出来たのですが、彼女の方はと言えば毎晩こっそりと仕事メールをチェックし、あげくには返信までしてしまうという始末。
同僚がファイルを探していたため、かわいそうになってつい、との事でした。

この彼女のようについ・・・というケースは決してまれではないようで、就業時間外でもメールをチェックしてしまう理由として、「やっぱり仕事は大事!上を目指したい」とか「自分がそうされたらいやなので、ついメール送信者にも返信をないがしろにしないで送ってしまう」など皆さん色々のよう。

又逆にこんな意見も。
「メールをチェックしようが放置しようが個人の自由なので会社からあれこれ言われたくない」

因みに私自身も先日ハワイに遊びに行ってきた際、時間が空くとほんの少しですがSNSをチェックしたりしてしまっていました💦

自分だけがメールに返信していないかもしれないことが不安。
それによって自分の仕事の評価が下がってしまうかもしれない。だから同僚皆がログオフしていると分かれば自分も安心してログオフ出来るのに。

例え個人主義のフランス人であっても他人の事は気になってしまうところもあるのですね。

我が国日本ではどうなのか。

少しずつこの「つながらない権利」を施行する企業が出てきているようです。
ジョンソン&ジョンソンなどは勤務日の22時以降と休日に社内メールを自粛するように呼びかけられており、三菱ふそうトラック・バス会社では長期休み期間中のメール受信拒否・自動削除出来るシステムを数年前に導入しました。

こんな風に日本でもつながらなくてもいいよ!というシステムが出来始めてきたのに、なんと休みが怖い「週末うつ」も近年では増えてきているそうです。

普段の日は仕事があるのでいいのですが、週末になると体調が悪くなって不安になってしまう。そういう人は仕事が特に大好きでもないそうですが、つらい状況にいないとかえって不安に感じてしまうという仕事依存の状態。
ある精神科クリニックではこういう患者がたびたびやって来るそうで、彼らは仕事をしている大多数の中にいる事で安心し、休日になってその大多数から切り離されてしまうとたちまち精神の均衡が保たれずに不安になってしまうのだとか。

つながりたくないけどつながってもいたい(つながっていないと不安)。

一番大切なのは
「つながる必要のない仕組み」を作ること。

労働時間外にわざわざつながらなくてもいいような構成で仕事が成り立っていれば、労働時間内で仕事が完結することで敢てプライベートな時間にまでつながらなくても仕事ははかどる。

この仕組みがあれば”つながっていなければ”などと言う半ば強迫観念のような不安から脱する事が出来ると思うのですが、あなたはどう思われますか。

#コラム #フランス #フランス人 #つながらない権利 #ライフスタイル #海外  

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