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BTSにハマるも約半年で降りるオタク③

これの続き。

8.推しが遠い

そもそも国外アーティストを好きになった時点で物理的に距離が遠いということは百も承知だったが、周りの国内アーティストを追っているオタク友達を見て、コンサートに行った報告などを聞くとやはり羨ましい気持ちが大きかった。
現場がないと好きな気持ちを持続することができないタイプなので、こんな世の中なので仕方ないのだが、一日も早くコンサートをしてほしいと思っていた。

コロナも少し落ち着いてきた頃、アメリカでのオフラインコンサートが決まったというニュースが飛び込んできた。「なんで?」というのが最初の感想だった。周りはお祭りムードだったが、素直によかったね~とは思えなかった。
その頃、韓国ではまだまだ感染者数も多く、とてもじゃないがコンサートが実施できるような状態ではなかった。しかし、コンサートの実施を心待ちしている本国のファンが多くいるのにも関わらず、なぜアメリカ?本国で開催後では駄目だったのか?と思わざるをえなかった。
もやもやした気持ちを姉に話したところ「私もそう思ったよ。例えばだけど、日本で考えたら嵐が日本でコンサートせずにいきなり『感染者減ってきたからアメリカでコンサートやりまーす!』って言うようなもんでしょ?そりゃなんで?ってなるわ」と言われめちゃめちゃ納得してしまった。

K-POP業界に詳しいわけではないし、これはオタクの邪推に過ぎないが、この頃から薄々「もう日本は彼らが対象とするマーケットから外れているんだろうな」と感じていた。
本人たちが目指している先がグラミー賞であることも分かっていた。今年こそは、という想いが強いことも。それと同時に、今後は恐らく欧米やヨーロッパがマーケットになっていくのだろうということも。
精神的な意味でもとても遠い存在なんだと悟ってしまった。

もうひとつは政治。国連でのスピーチは大きなニュースにもなり、素晴らしいスピーチをした彼らを称賛する声が多い反面、「政治に関与しすぎなのではないか」という意見もあった。
そういった場に抜擢されることは凄いことであり、アイドルがみんな同じ場に立てるかと言われればもちろんNOだ。ただ、正直、アーティストとして活動し、ステージで輝く彼らを観たい、推したいと思った私にとってそれは重かった。元々遠い存在だったはずが、更に遠い存在であるということを実感してしまった。

9.決定打、他グループを知る

アメリカでのコンサートが終わり、なんだか腑に落ちない気持ちを抱えたまま過ごした数日間。リアルタイムで情報を追うこともしんどいと感じるようになり、少し距離を置いていた。
実は少し前に別グループの曲でかっこいいなと思う曲があり、最新のアルバムを購入したりしていた。K-POPのグループはどこもそうだが、Youtubeなどのコンテンツが非常に充実しており、曲やパフォーマンスだけでなく、様々なバラエティなどを見る機会が多く、本人たちの人となりを知ることができるというのが利点だと感じていた。
そのグループも例に漏れず、多くのコンテンツがあり、見ているうちに段々メンバーに愛着が湧き、もっと知りたいと思うようになった。何より、アルバムに収録されている曲はどれも好きな感じだったので、他の曲も聴きたいと思い、関連グループのもの含め、現在CDが購入できるものに関しては全て揃えた。やっぱりどの曲もかなり好きな感じだった。
そうこうしているうちに、日本でのコンサートが決まった。嬉しかった。結局、コロナの影響で直近のコンサートはオンライン開催になってしまったものの、すぐにその先のコンサートの予定が発表された。続けて関連グループのカムバも決まった。新譜が出るということが嬉しかった。

一方、BTSはというとグッズの販売情報が次から次へと押し寄せては炎上が続いている。SNS上では相変わらずファン同士が喧嘩をしている。
本国でのコンサートとまたアメリカでのコンサートが決定。いずれも前回のアメリカのコンサートと内容はほぼ変わらない様子だった。そもそも新しい曲が出ていないので当たり前なのだが。
グッズの情報が出ても、もういらないなと思った。公式にお金を使うという意味では、オタクとして貢献すべきなのだろうけれど、私がお金を払いたいのは彼らの音楽に対してだった。行けないコンサートの情報を目にすると悲しくなったし、行ける人が羨ましいと思う気持ちのほうが大きくなってしまった。彼らのコンサートをオンラインで見るよりも、他グループの日本コンサートを楽しみにしている自分がいた。

私はもうBTSを推せないだろうなと思った。

10.終わりに

以上が私がBTSにハマって降りるまでの経緯である。あまりにも呆気なく、早かったなと思う。今まで、短くとも一年は推していることが殆どだったので自分に驚いた。(大体は3年周期で推しジャンルが変わっていく。)
曲が嫌いなわけではないので、これからも新譜が出れば聴くかな~くらいの気持ちでいる。

こんな世の中になり、オンライン上での情報収集が簡単にできる反面、知らなくていいことや目にしたくないことまで流れてくることもある。
推しとそれに付随する情報をうまく取捨選択し、適度な距離を保ちながらオタクをしていくことが大切であるということを改めて感じた約半年間だった。

もちろん悪いことばかりではなかった。彼らを好きでいたときは彼らの曲を聴けば元気をもらったし、タリョラは基本的に毎回大爆笑だった。
韓国文化や食、言語などに興味を持ったり、K-POPというジャンルを知ることができたのは間違いなく彼らを好きになったからこそだった。
自分の世界が少しだけ広くなったのは彼らのおかげである。

そんな彼らに感謝の気持ちはあれど、憎む気持ちや嫌う気持ちはない。
これからも彼らの音楽が人々を幸せにし、世界へ大きく羽ばたいていくことを祈っている。

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