家出⑤次女は敏感

次女は敏感

子ども名誉のために言っておくが、我が家は夫が突然怒り出すことで心の安定が得られない。そのため、中学超えた時期からは3人の子どもはみんな、食事以外はほぼ自室にこもるようになっていた。食事もバラバラにとる。

だから、家の中で怒鳴り声は聞こえるが、家族の微妙な動きには気づかない。私が家を出ることも気づかない。

鈍感になりたくて、自室にこもるのだ。

実は私は1度家出未遂がある。

家出実行の3ヶ月ほど前。

夫が怒鳴った理由は思い出せない。

いつもの夫の「出ていけ！」が来た。

その日は、流行りのコストコに家族で行く日だった。私と次女の要望だ。うちは車を所有しない。レンタカーを借り夫が運転を予定していた。夫は運転が好きだ。運転はいくらでも機嫌よくしてくれる。

レンタカー借りてまでの、我が家のまぁまぁのイベント日だった。そうだ、この日も私が家出すれば夫が困る日だった。

私は静かに荷物をまとめていた。誰にも気づかれてはいけない。

2階の自室で静かに荷物をまとめた。

すると、階段に次女が座っている。そんなことは初めてだ。

私は荷物を外にだす瞬間を狙っている。

次女は階段に座っている。ずっと座っている。何もせず座っている。次女がいると荷物は出せない。どこ行くの？と聞かれるだろう、止められるだろう、家出が決行できない。

ずっと階段の途中に座る次女に

「どうしたの？」と訊ねる。

「いや、別に」と答えるが、動かない。

時間を待った。

次女がトイレに行った瞬間。私は大きな荷物を抱え、家の外の目立たない位置に荷物を置いた。

実際出ていくのはもう少しあとだ。焦るな。

私の目的は家を出ていくことだ。母であることを捨てていた。

再び次女は階段に座る。

私は準備を整える。

また次女の隙を狙う。

そして家出は決行された。

ひとまずカフェへ。

気持ち悪い

そこへしばらくして夫からの連絡が来た。

夫「どうしたの？」

私「家を出ていけと言われたから出た」

夫「コストコ行かないと、〇〇が悲しむよ。。。」

優しく説得された。

そんな夫が気持ち悪かった。

でも帰宅した。準備不足もあった。

何事も無かったかのように。コストコへ行った。

次女は言った。

「ママが出ていく時は分かるよ。。。」と。

未遂の時も、決行した時も。次女だけは、察知した。