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なぜ私たちはPRやクリエイティブに対して熱狂的投資をするのか?【イベントレポート】

SHEは「学ぶ」と「働く」の循環型プラットフォーム構築に向け、総額18億円の資金調達を実施しました。単なる女性向けキャリアスクールの運営ではなく、社会課題を解決するインパクトスタートアップとして本格的に舵を切っていきます。

本記事では、資金調達を記念して行われた特別イベント第3弾のレポートをしていきます。YOUTRUST様をお迎えし、「なぜ私たちはPRやクリエイティブに対して熱狂的投資をするのか?」をテーマにトークセッションを行いました。

PRやクリエイティブに投資し、成長を続けてきた両社。これまでの取り組みや各人のキャリアのなかでやってよかったことや、スタートアップに関わる面白さなどを語っています。きっとPRやクリエイティブへ投資する勇気が持てるはずです。


登壇者紹介

株式会社YOUTRUST CMO / 大前宏輔さま

京都大学教育学部卒業後、2012年株式会社サイバーエージェントに入社し、子会社立ち上げなど幅広く経験。 2018年9月より株式会社メルペイに入社し、マーケティングマネージャーを歴任。 2021年4月に株式会社YOUTRUST入社、同年10月にCMO就任。

株式会社YOUTRUST コミュニケーション室室長 / 緒方祥子さま

東京大学経済学部を卒業後、2013年株式会社リクルート住まいカンパニーに新卒入社。不動産メディアのソリューション営業を経て、2018年にGoogle Japanへ転職。広告営業や電子書籍・ニュースのパートナーシップ業務に携わる。2020年よりYOUTRUSTで副業を始め、翌年同社に1人目の広報PR担当として正社員入社。現在、コミュニケーション室長として、人事・広報領域を管掌。

SHE株式会社 取締役COO・CMO / 五島淳

SHE株式会社 取締役CMO・COO。働く女性のためのキャリアスクール「SHElikes」事業を中心に、マーケティング、ブランディング・PR、および全社グロースを管掌。これまでは電通にて、統合的なマーケティング・ブランディング・広告プランニング業務、DXコンサルティング業務やビッグデータ領域の事業開発PM等を担当、2019年よりSHE株式会社に参画。

SHE株式会社 PRブランディンググループグループマネージャー / 下垣恵

津田塾大学→2018年広報としてフィリップ・モリス・ジャパンに新卒入社。IQOSのグローバルローンチPRに携わる→外資系PR代理店でテック企業やスタートアップの広報を支援→2021年5月にSHEにジョイン


自分たちの手で工夫できる面白さ

―五島(敬称略):
本日の本題「なぜ私たちはPRやクリエイティブに対して熱狂的投資をするのか?」をテーマに、まずは各社の取り組みを紹介できればと思います。

左側がYOUTRSUT、右側がSHEのPRやクリエイティブ

―大前(敬称略):
YOUTRUSTの施策を一部紹介します。まずは「すごい副業」というPR企画で、Twitterを中心にバズを生むことができました。リモートワーク中心になった2年ほど前から、「副業」を通して企業側と働く側が接点を持つようになりましたよね。YOUTRUSTでは「副業が見つかる」価値を最大化したいと考え、この企画を行いました。結果として多くの登録者を獲得できました。「すごい副業」企画はYOUTRUSTにとって、PRやクリエイティブに投資をするようになった初めの一歩だったと思います。

その後は資金調達のリリースに合わせて、他社ではやっていなかったような交通広告や、タクシー広告にも投資しました。最近ではYOUTRUSTのお家芸とも言える、ユーザーさんを巻き込んで展開していく「#熱募」という交通広告企画も行っていました。このようにYOUTRUSTは「巻き込み」や「ユーザーさんが見たことのないもの」を大事にしながら企画を展開しています。

―五島:
SHEでは直近ですと、峯岸みなみさんをキャンペーンキャラクターに起用したブランディング広告を行いました。また峯岸さんがご結婚を発表されて初めての仕事がSHEだったので、下垣さんがタイミングを逃さず、急遽ニュースリリースとして発信したこともあります。また2022年はテレビCMの放映にも挑戦していました。

―五島:
では、スタートアップでPRやクリエイティブディレクターをやることの面白さはどのようなところでしょうか?登壇されているみなさんは、スタートアップではない企業から転職されていますよね。

―緒方(敬称略):
経営と近いことができるのが面白いかなと思います。PRに限らず、スタートアップに飛びこんだ理由と言ってもいいかもしれません。

スタートアップは「経営=事業」であり、いかに社会や世の中にサービスの価値を伝えて波を起こすかが大事だと考えています。PRやクリエイティブは、価値を実際に世の中に伝える「共感を生むトリガー」だと思っているので、やりがいがありますね。

表現次第では炎上を生むかもしれないハラハラ感はありますが、ファンに届くものを自ら考えられる。経営視点で脳を使っていると思います。私としてはとても面白いです。

―下垣(敬称略):
私も経営に近いからこその面白さは感じていますが、それ以外に2つあるかなと思います。

まずはスピード感。峯岸さんがご結婚を発表された時のリリースはまさに、広告代理店さんを挟んでいたら出せなかっただろうと思います。発表される5分前に伺って、「じゃあリリース出すしかないじゃん!」とすぐにリリースを書き始めたので。

もうひとつは頭の使い方ですね。広告代理店さんが入って、PRやクリエイティブを選ぶ立場ではなくて、自分たちが作る立場でもあるのがスタートアップでPRやクリエイティブをやる面白さです。峯岸さんの交通広告アイデアも、社内のマーケティングチームと何度もミーティングを重ねています。

―五島:
スタートアップはスピーディーですし、インハウス志向ですよね。YOUTRUSTさんは施策の規模感はタイミングによると思いますが、ぶっちゃけどのくらいの予算を使われていますか?(笑)

―大前:
あとで同じ質問をしてもいいですか?(笑)

予算の強弱は付けています。例えばシソンヌさんを起用したタクシー広告は、クリエイティブには思い切って投資しています。タクシーで広告を見る体験自体が定着化していますし、クリエイティブに投資しないと他社と差別化できないだろうと考えたためです。

一方で、実は他のPRやクリエイティブにはそこまでの予算はかけていません。PRは届けたい内容がしっかり届けばメディア費を抑えられるし、営業やHRなど他の部門のKPIにもヒットさせられる。ハマるとコスパがいいんです。そういう工夫や予算のメリハリが付けられるのは、スタートアップならではの面白さだと思いますね。

―五島:
メリハリという意味では、SHEも同じですよね。下垣さんはSNS企画でトレンド入りを狙うなど、予算なしでPRに挑むことも多いですが。

―下垣:
アルゴリズムが変わって結構大変だなと思いつつ、Twitterの拡散性はスタートアップのPRをやるうえで外せないポイントだと思っています。今回の資金調達リリースでも、実はハッシュタグを2回変えてハマるものにしたり、どのように社員の盛り上げを演出するかにこだわったりしていました。様々な工夫ができるのは私も楽しいです。


「らしさ」の蓄積は意思決定の早さに

―五島:
続いて、PRやクリエイティブへの投資をしているのは成長企業の共通点なのか?についてお話できればと思います。?

特にYOUTRUSTさんは、採用や組織のコンサルなど企業の成長を支えるパートナーとしての顔もお持ちだと思います。伸びしろを感じる企業について、客観的な視点があれば伺えますでしょうか。

―大前:
PRやクリエイティブへの投資は、必ずしないといけないわけではありません。ただ個人的には、経営者がPRやクリエイティブの大切さを理解して、「投資する時はする」と決めておくのはいい戦い方ができるのではないかと思います。

例えばSmartHRさん。クリエイティブ・マーケティング・インナーブランディング・アウターブランディングを共通化するようなコンテンツ作りにずっと投資をしていて、あれだけ成長されている。代表の宮田さんもクリエイティブへのこだわりがあるし、理解もされている方だと思います。

普段からPRやクリエイティブに投資し続けなくていいけれど、経営層の投資への理解があると、タイミングが来た時に企画を仕掛けられる。おめぐさん(下垣)のようなクイックな動きができるようになるわけです。チャンスを逃さない企業になれる条件な気はしますね。

―緒方:
以前はPRというと、「プレスリリースでしょ」「CMでしょ」「顧客獲得のことでしょ」というイメージだったと思います。今は「この会社っぽいよね」という、言語化しにくいものをクリエイティブとして作れるかに変わってきました。

成長企業の共通点で思うのは、PRやクリエイティブを「How」ではないと理解していること。そして会社の見え方や伝えたいメッセージを、どのような形でも・誰が見ても一貫して伝えようとする意志があることが大事なのかなと思います。

―下垣:
私も「SHEらしさ」にはすごくこだわっています。言葉の使い方色合いには特にこだわっていますね。toC向け事業なので、資料が多くて各部署への確認が大変なのですが、SHEらしいブランドを作るうえで大事にするべきことだと思っています。

1人でやるのは大変なので、ブランドらしさやそのクリエイティブを社内に伝えることも重要で。理解してもらう活動は日々大事にしています。

―大前:
キーとなる人材から「らしさ」が蓄積されるといいですよね。逐一ミーティングしなくていいですし、意志決定が早くなりますし。

―下垣:
デザイナーさんが自主的に、「もっとSHEらしく」とこだわってくれるんです。共創的になれている実感はあります。

―五島:
経営者がいかにクリエイティブを見ているかで、クリエイティブへの感度が高いメンバーが集まりやすくなるとも思います。

―大前:
代表の岩崎も、クリエイティブへのこだわりは相当ありますね。僕の暴走を止めてもらったことも何度かある(笑)ので、彼女の意見は真摯に聞くようにしているんです。アクセルとブレーキの役割を果たせているように思います。

―五島:
ちなみに、シソンヌさんをタクシー広告に起用したのは?

―大前:
それはマーケティングチーム主導ですね。岩崎がシソンヌさんのファンということもありますが、客観的に考えて起用するべきだと考えたのでGOを出しました。

ただ撮影現場には僕が行けず、岩崎が立ち会っています。ディレクションをしたのは担当メンバーと彼女だったので、完成形には岩崎クオリティがふんだんに盛り込まれました。

―五島:
スタートアップって、代表が好き放題やっているイメージを持たれることもあると思いますが、実は代表もメンバーもフラットなんですよね。


客観的視点があり、時にはGOを出せる人

―五島:
では最後のテーマです。PRやクリエイティブディレクターとしてスタートアップで働いているのは、どんな人でしょうか?「こういう人がうまくいっていて楽しそうだよね」と思うことを教えていただければと思います。

―下垣:
私はずっとPR畑で働いていますが、そうではなくても活躍できるフィールドが広いのは特徴だと思います。

PRに必要な文章力や人間関係構築力がある状態で、緒方さんのようなビジネスの一線で経験を積まれている方が活躍できる場です。経営陣と近しいスピード感で動くことになるので、様々な環境を「突破していくことが楽しいと思える人」は活躍されているように思います。

―緒方:
私は、情報を取りに行くことが一番大事だと思っています。特に「情報を引き出す力」「聞く力」です。

スタートアップはスピード感があるから、取材してくださる記者さんも情報量に困惑しているケースがあるんです。その際に各メディアさんの今のニーズや、どのような情報を欲しているかを聞いてからではないとお伝えできないなと思っています。猪突猛進のように見えて、実は先に引き出すのが大事です。

―大前:
僕が緒方を見ていて重要だと思うのは、社長や役員の部下にならないことですね。PRや企画って、考えれば誰でもできそうに見えるがゆえに部下っぽく接してしまうケースはあると思います。でも、そうではないだろうと。

―緒方:
「広報伝書鳩問題」ってありますよね。言われたことをそのまま形にするという……。

そうではなくて、クリエイティブも含めてどう自分の色を乗せるか、または事業が求めるものを乗せられるかが大事かもしれません。

―大前:
引くところは引く客観的視点を持ちつつ、おめぐさんが言う「突破」のように時にはGOが出せる人が活躍するのではないでしょうか。ちなみにSHEさんは、どのように発信内容を決めているんですか?

―五島:
種火を持ってくるのは代表が多いですね。それをそのまま出すというよりは、会社のフェーズや世の中のタイミングを見つつ、話し合ったうえで出し方を決めています。

SHEの場合は会員さんがたくさんいらっしゃるので、不安や誤解を与えないよう出し方についての議論は長く行うんです。SHEらしさやタイミングなどを考え抜いたうえで、最後は結構スピード感を持ってガンガン進めています。議論した後の行動は早いですね。

―下垣:
SHEは代表も役員も社員も、本当にフラットなんです。

例えば資金調達をリリースした際に役員陣からnoteを出したのですが、私が「ここをこうするともっとよくなりそう」とか「タイトルは4案から選びたいです」とかを言っても受け入れられて、ディスカッションすることができます。

「PRやクリエイティブって大事だよね」という文化が醸成されているからこそ、私から提案しても大丈夫だなと思えています。

―五島:
経営者はあくまでも役割。おめぐさんの「PR」とうまく役割分担できていて、いいなと思いますね。


自分の枠を染み出したい

―五島:
ではQ&Aセッションに移ります。「PRに興味があるものの現職での異動が叶いにくい状況です。転職前に経験を積む方法、PRではなくとも経験しておいたほうがいいこと・望ましいことがあればお伺いできますと幸いです」。

―緒方:
前職で本業をしながら副業で広報をしていた時は、いきなり対価をいただかずNPOで広報を経験しました。あとはPR系のコミュニティがいくつかあるので話を聞かせてもらったり、PRについて書いてあるnoteを読み込んだりしていました。

―下垣:
SNS運用やライターなど、PRと近しい仕事から経験するのはありかなと思います。たしかにPRど真ん中は、人数規模が少なくて異動しにくいポジションなのかも……。緒方さんのNPOでの経験、いいですね!

―緒方:
当時はPRに興味があっても、自分に合うかは分からないと思っていました。「面白そう!」という憧れを本当に楽しいと思えるか、どのように現実にしていくかが分かっていい経験でしたね。

あと、PR以外のことを知っていたのは結果的に良かったです。色々な人の脳みそを分かりやすく伝える仕事なので、伝える側の脳みそと受け取る側の脳みそ両方を理解していないといい表現は出てこないなと思っています。前職で経験した、営業やマーケティングは経験しておいてよかったと思いますね。

―五島:
続いて、「ベンチャーのPR、繋がりはコミュニティから始まるのでしょうか?どんなことをしているのか気になります」。

―下垣:
Twitterで繋がりませんか?緒方さんともTwitterで繋がりましたよね。

―緒方:
そうですね。お話しするのは今日で3度目くらいですが、もっと話している気がします。

―下垣:
SNSをフォローする」から始めると良さそうです。

―五島:
大企業のPRをしていた頃はどうでしたか?

―下垣:
大企業のPRにいると、年次が幅広いから先輩から紹介していただきました。代理店さんもいらっしゃるから、PR担当に出会える数がそもそも多かったように思います。

―五島:
続いて、「経営者はPRに積極的なものの、社員はPRに理解がない職場です。『経営者がまたやっているよ~』と冷ややかです。『PRが大事』という風土は育つものでしょうか?」。

―大前:
YOUTRUSTの場合、前提として「みんなで盛り上げるのが大事」という理解はありました。そのうえで1を10にするために、サウナを例にしてメンバーへ声を掛けていたことがあります。

「熱源は、自分たち企画担当が作ります。熱波師のようにサービス認知を上げるのも社員中心に盛り上げます。ただ、水風呂のようにととのうかは、自分たちの努力次第。例えば広告を出したあと、営業のみなさんなら次の日にクライアントにアポイントを入れておく、HRなら採用の接点を持つ企画を作るなどはしようよ」と。

つまり自分たちの領域で、PRを最大限利用してほしいという話をしていました。自分のキャリアにとってもオイシイものになりますよね。

―五島:
スタートアップの場合は、お客様との距離が近いから、盛り上がりやPRの効果を自然と感じやすいように思います。

―下垣:
同じ意見です。SHEでもリリースを拡散した際、クライアント企業から「おめでとう!と言われた」という声を聞きました。PRが実感として広がっている成功体験があると「PRって大事なんだ。やった方がいいじゃん!」と思うきっかけになりますよね。

意味のないPRは出す必要がないけど、出すなら売上や認知に繋がるところまで設計できるといいのかなと思いました。

―五島:
では最後の質問です。「個人のキャリアの展望について、期間や具体性などどのくらいの構想を練っていますか?」。

―下垣:
私はキャリアイメージをあまり持ったことがないんです。どういう役割になりたいとかはないですが、会社で面白いことが起こった時にすぐ手を挙げられるくらいの信頼と実力をつけていたいと思っています。

―緒方:
私のやっていることはPRというより、ワン・オブ・ゼムなんですよね。1人目広報として入社したものの、現状は全体の仕事の1割あるかないか。実際は人事をやっていることが多いです。

そのなかで楽しいなと思っているのは、コミュニケーションを豊かにすること。ユーザーさんに向けてであればPRだし、候補者に向けてであれば採用だし、社内に向けてであれば組織開発になるんだろうなと思います。おめぐさんに近いですが、会社が大きくなるために必要なことはやりたいです。

自分の枠を染み出したいと思う人が、スタートアップのPRを熱狂してできるのかなと思います。反対に専門性を高めたいと思った時に、できないことが多いのかもしれません。

―下垣:
染み出した結果、PRに跳ね返ってくることはあるなと思います。マーケティング寄りのPRをやっているとお客様向けのコミュニケーションが気になってきて、「そっちもやらせてください!」と言えますし。自分の枠と他の枠とを行き来する柔軟さは、スタートアップだなと思いますね。

―五島:
PRは手段であって、ビジョンに共感した会社で事業を作っている感覚を持つのが大事なのかなと思います。PRという枠に留まらずに、日々やりたいことにチャレンジできるのがスタートアップの特徴ですよね。本日はありがとうございました!



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