おんな

子供の頃

私は女と男の区別がつかなかった。

あの人は胸がある人。

あの人はスーツを着る人。

そんなもんだった。

「なんで違うの」

「何が違うの」

そういう事も考えず

「そういうもんなんだ」って。


四年生の時に

区別がついた。

でも自分が「女」だって

自覚はなかった。

「これが女」

「これが男」

でもそのカテゴリーに人を入れる事はなくて。


自分が女なんだって気づいて

男になりたかった。

六年生の時だった。

憧れる男子がいたけど、

恋とかではなくて、

「私も彼のようになりたい」

「男になりたい」

体に違和感はなかったけど、

自分が女の子だって言われる事に違和感を持った。


女は男を好きになるもの

男は女を好きになるもの

そう思ってたから、後になるまで

自分は憧れの気持ちじゃなくて

恋をしていたんだって言い聞かせてたんだ、

違うってわかってたのに。


高2ぐらいまで、

私は胸を小さくしたかった。

生理も止まって欲しかった。

女というカテゴリーに入れられるのが嫌だった。

男というカテゴリーに入りたかったわけでもない。

ただ、<わたし>というカテゴリー一つだけでよかった。

性的に区別されるのが嫌だった。


かわいい女の子を見ると、

なんで自分は男の体じゃないのかなって

思ったりもしただけど、

身体が女同士でも一緒にいれるって知って

じゃあ私はこのままでもいいのかって

少しほっとしたんだ。


初恋で、

本気で人を好きになって

自分は女がいいって思って、

自分の女の体をもっと女性らしくしたいと思った。

そうしたら、つながりがなくなるという不安がなくなる気がして、

女になった。