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「インターバル」活動紹介:アリさんインタビュー

東京のshelfとジャカルタのLab Teater Ciputatの共同制作プロジェクト「交差/横断するテキスト:ミステリーとミスティカルのあいだで」は、三島由紀夫の「卒塔婆小町」と、インドネシアの作家ダナルトの「Rintrik」という作品を出発点に、私たちの身体や文化なども織り込みながら共同で作品を制作します。
2021年、コロナ禍の中のshelfとLab Teater Ciputatの作品制作は、ワークインプログレス「インターバル」として、主にオンラインで進められました。

今回は、「インターバル」で行われたプログラムから、東京とジャカルタの俳優が二人一組となって行った、

 1.お互いの質問に、動画で答えるインタビュー
 2.通訳を介さずに、メッセージの往復を重ねてスクリプトを創作する

を俳優たちが紹介します。

川渕です。次はアリさんとの制作についてご紹介します。

1.インタビュー

アリさんが演劇について「自分の中のアイディアや焦燥感などの欲求に演劇は居場所を与えてくれる気がしている」と話していたのが印象的でした。私は「演劇の現場は私が人間であることを許してくれる場所」だと感じています。私の人には言えない妄想、失敗、今の社会で生きていくには不器用すぎるどうしようもない部分などもここにはあって良いのだと、少し呼吸がしやすくなる場所。もちろんこれは「私にとって」ということで、他の人にはこの演劇が違うものになるのだろうと思います。

2.テキスト制作

Yuko:
お母さんは、クローゼットの中に恋人を隠していたから?
(Karena ibumu menyimpan kekasihnya di dalam lemari itu?)
Ari:
Bukan di lemari, tapi di saku bajunya, di situ hanya ada sekeping hati lelakinya. Di awetkan seperti selai. Apakah semua wanita akan melakukan hal serupa?
(箪笥じゃなくて服のポケットの中に、男の心がたった一切れ。ジャムみたいに保存してある。全ての女性は同じようなことをしているのかな?)


「ハロー、優子さん」というメッセージから始まったやりとりは、世間話から少しずつ創作に移っていくのかなーと思っていたら、あれ、なんか会話が成立しないぞ…? と、困惑しながら返信していました。いつの間にかアリさんの世界に引きずり込まれていたのでした(というか、アリさんは最初からもう始めていたんだと思う)。
アリさんは「イヨネスコが好き」なのだそうで(これもGoogle翻訳なので合ってるのかな?)、ああ、不条理な状況に巻き込まれると、人間はこんな感覚を味わうのかもしれないなあと妙に納得したのでした。