見出し画像

雑記|今でも心に残っている本と自分の根っこ

GWに久々に本を大量摂取して、それでも今も心に残っている本を思い出したくなったので雑記として書こうと思う。私は昔から本が好きだったので、母親の書架を読み漁った。年齢制限をかけられている本があったので、まずは推理小説から、小6になるとハンニバルや、村上春樹をうっかり読んでショックを受けたり、最近はやっとビジネス書も読み始めた。

そんな中で私が自分の人生にすごく影響及ぼしてるかも、もしくはずっと心に残っている本をつらつらと思い出して書いてみた。ジャンルに分けたら自分も分かりやすいかと思うので、そうやって整理してみる。

■小説

1.『ちいさなちいさな王様』アクセル・ハッケ
ミヒャエル・ゾーヴァの挿絵も含めて今でも大体覚えてる。公文教材が最初に読んだ機会。いつまでもこんな世界を忘れたくない。

2.『ナルニア国物語シリーズ』C.S.ルイス
好きすぎて映画の曲で滑った。兄弟の失敗とそれを乗り越える過程も素敵。シリーズのラストは「そんなことある?」ってショックだった。確か公文が初出。

3.『ハリーポッターシリーズ』J.K.ローリング
言葉は不要。ハーマイオニーになりたいと思ったし今はエマワトソンになりたいと思ってる。まじで11歳の時ふくろう来ねえかなと思って夢破れた。

4.『羊たちの沈黙』トマス・ハリス
初めて読んだ「グロい小説」。この小説のせいで私はグロ耐性が最強になってしまった。不安定さもある正義の主人公クラリスと魅力的な犯罪者レクター博士、人間の描写に引き込まる。続編のラストは「えええええええおま」でしかないメリバ。これが正しいメリバ。

5.『変身』カフカ(新潮文庫)
不条理オブ不条理。小学生で読んだ。これも公文が初出。ちなみにカフカのドイツ語は母国語ではないので非常にドイツ語教材として良い(崩れにくい)とか教授が言ってたけど、まじで不条理なので文法が正しかろうが「この展開で合ってんのか…?」で全く確信が持てないとクラスがざわついた。そして別の出版社から平易な訳で出ているが、個人的には新潮を強く勧める。カフカの堅い文章と不条理性は新潮の文体で読んでこそだと思う。

6.『歌うくじら』村上龍
これは大学受験を控えた私の天啓の書。格差が移動を制限されることで固定化された社会で、最下層にいた少年が父を尋ねて最上層まで移動し続ける話。途中、言語を崩すことで思考の枠組みを外す試みをするレジスタンスの話など書き切れないくらい示唆的な人々と出会い、成長していく。「移動こそが人生だ」というメッセージで私は東京に行く勇気をもらった。自粛している今、余計にこのメッセージが実感されてウズウズしてる。

■ホロコースト系

1.『アンネの日記』アンネ・フランク
絶対に人類は読むべき。聡明な少女の視点から率直に日常や子供時代の不安や期待が綴られていて、これをまさに同年代として読んだ私はしばらく人生に感謝した。これも公文教材で読んで母の本棚で見つけて全部読んだ。

2.『夜と霧』ヴィクトール・E・フランクル
これも大人は絶対読むべき。収容された絶望の底で人間がどう生きていたか、重いけど、最後は本当の力が湧いてくる。開けたパンドラの箱に最後に希望だけが残る、そんな読後感。公文で読んだ。

3.『HHhH』ローラン・ビネ
大学の表象文化論で少し扱って読んでみた。実在の人物を小説として描く困難性に筆者が迷いながら、筆を進めていく緊迫感がある。史実に向き合う姿勢が印象的。

4.『帰ってきたヒトラー』ティムール ヴェルメシュ
映画はまじでオススメ。コメディタッチでヒトラー当人が現代で「ヒトラーそっくりさん」として人気を博す姿を描く(普通に爆笑)が、社会問題を痛烈に批判するようでいて最後は自分の思考にゾッとさせられる。

※本ではないが、耐える人はぜひ収容所開放時の記録映画やシンドラーのリストは観て欲しいと思う。アーレントの『イェルサレムのアイヒマンーー悪の陳腐さについての報告も概要は知っておくべきだ。全く凡庸な私たちが加担するかもしれない邪悪について、この歴史を無視することは許されない。

■ビジネス系

1.『LIFE SHIFT』リンダ・グラットン
弊社の課題図書。100年時代という言葉の元ネタ。WORK SHIFTと合わせて社会人必読だと思っている。キャリアプラン難しいよ…。

2.『ビジョナリー・カンパニー2
皆2がいいって言うけど私も2は良かったと思います。1の反省や指摘を活かして実証研究している点がまず素晴らしくて、飛躍の前段階は意識できないという点もためになる話だった。

■古典

1.『論語』『孟子』『孫子』『荀子』『韓非子
まとめた。全部公文で読んだ。皆さんのせいで例え話が好きになった。性善説と性悪説について、先生にあんたはどっち、って聞かれて性悪説と答えた中学生の私に、先生が私は今は性善説やと思ってるよって返してくれた言葉の重さが歳を重ねるごとに響いてくる。

2.『こころ』夏目漱石
「向上心のないやつはばかだ。」これがひたすらに苦しい。公文で読んだ。教科書は先生の昔話しか載ってないが、全編通して先生と友人の生きづらさに寄り添いたい。

3.『山月記』中島敦
これも苦しい。秀才だったけど何者にもなれず、臆病な自尊心と尊大な羞恥心をこじらせて虎になってしまった李徴は数年後の私かもしれない。公文で読んだ。

4.『ヨブ記』旧約聖書
宗教の話は置いといて(私は無宗教)、不条理の極みを描いたものとして読み応えがある。失ったものは戻ってこないし、信仰で救われたとも思えない。ただし、それでも人生に対して敬虔であるしかないなと思う。

■社会学系

1.『われら勝ち得し世界―セクシュアリティの歴史と親密性の倫理』ジェフリー ウィークス (著), 赤川 学 (翻訳)
大学の研究室で勉強会をした時の題材だった。
「グローバル化とデジタル革命によって加速するセクシュアリティと親密世界。本書は、21世紀におけるセクシュアリティの倫理を、LGBTの日常から生じる「生の実験」に基づいて立ち上げていく過程が克明に描かれます。
性の解放/女性解放から現代の同性婚、インターネット時代のLGBTまでを描く、人間解放の現代史。世界的権威であり、ゲイ解放運動の先頭に立つ著者が、歴史学と社会学の手法でみごとに論じきった傑作。」

↑これを1冊読めば今の社会を取り巻くセクシュアリティやLGBTの歴史、倫理についてキャッチアップできると思う。

2.『自殺論』E.デュルケーム
大学の社学の課題本の1つ(もう1つはプロ倫)。私の印象に残ったのは、「社会との繋がりの強度が人の行動の最後の一押しの効果を変える」ことがデータで主張できるという点だった。同じ事象が起きても、それが最後の一押しになってしまうことがある(それは個人の強さとかマッチョイズムで解決しない)ということを読んで考えることができたのは大きな収穫だったと思う。


<まとめ>

私を形作っているものがなんとなく分かった気がした。

・不条理への対決心(個人の努力への絶望)

・自分の中の潜在加害性への恐れ

・社会システムの影響力への信仰

自分は底抜けにポジティブだと思っていたが、実は意外と「根っこを諦めているからこそポジティブに生きて努力していられる」のかもしれないなと感じた。すでに社会に出て数年経つが、これがさらに歳と経験を重ねてどう変わるんだろう。

ーーーーーーーーーーーーーー

追記:今回記載を除いたものも含めて、圧倒的に公文の国語教材で出会った名著が多いことには驚いた。特に古典はめちゃくちゃ良著から設問が出されているし、高1まで続けてしばらく研究コースもやっていた自分としてはすごくおすすめしたい。高いがその価値は十分にあると思う。念の為これはステマではない。でも社会人が読みたいと思う漢文古典は大体網羅されている

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?