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【映画感想🎬】雨の日は会えない晴れた日は君を想う

おすすめしたい人:いろんなことに無関心で、なにかあったときは一人で問題と向き合う人。あとデバッグ好きな人も。

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想像以上にいい映画でした!掘り出し物!!プライムビデオで無料で観れました。

タイトルとサムネイルだけで選んだので、「恋人を失った男性が、ふたりの思い出をなぞりながら旅するロードムービー」的なのをイメージしていたんだけど、だいぶ違いました。

「妻を失った」というところまでは予想通り。でもその後の展開が予想外すぎて、おもしろかった。

大切な人を失ってから立ち直るまでの物語。なんだけど……


他の「大切な人を失ってから立ち直るまでの過程を描いた映画」と違うのは、主人公が大切な人を失ったと自覚していないところ。

妻の死を悲しめない。ということは、自分は妻を愛してなかったんだろう。と解釈して、今まで通りの日常を送ろうとしているところが、他の映画とは違っておもしろかったです。

でも、そこでおしまいではなくて、「なにかがおかしい」と感じ、自分にできるやり方で自分と向き合い始める……という流れ。

なんだか心理学っぽい映画だな~と感じました。
主人公の心の動きも、心理学の「悲嘆のプロセス」に沿って作られているのかなあと思ったり。

自分を徹底的に点検し、作り直す

妻の死はきっかけに過ぎなくて、それが引き金になって、これまでかかえていた無関心、欠けてしまっていた自分自身に向き合わざるをえなくなった人の話って感じでした。

過去にとんでもなくひどい目にあったり、叶わなかったことがあると、心が傷つきすぎて何にも関心を持てなくなること……割とよくあることだよなあ。

どうでもいいや、って気持ちになってしまって、自分の感情に蓋をするし、他の人からの感情を受け取れなくなる。

そんな時に、主人公は義父の言葉を思い出し、徹底的に分解をはじめます。

何かを直すときは、まず分解しろ。そして見極める。強さの源を。
心の修理は車の修理と同じだ。まず隅々まで点検する。そして組み立てなおす。

「雨の日は会えない、晴れた日は君を想う」

周りの物を分解することを通して、自分の内面を分解しているんだなと感じました。自販機のカスタマーセンター宛てに、自分の状況や心情を書いた手紙を書くのも分解の一つ。セルフセラピーなんだな。

本人の中では筋が通ってるけど、他の人から見たら「妻を失って精神的に不安定になった人」にしか見えない。そりゃそうだよなあ。急にトイレのドア解体したりPCばらばらにしたら恐怖を感じるよ……笑

分解しつくしてわかったのは、妻はいつも自分に愛を与えてくれていたのに、無関心が故にそれを受け取らなかったし、妻に愛を与えてなかったということ。
サンバイザーのメモ、冗談みたいな軽いノリだけど、泣けてくるのわかるなあ。

分解が終わって、自分のことがわかったら、それを伝えるのが大喧嘩していた義父っていうのがとっても良かったです。
こういう系の話は、異性と恋愛関係になって救われるものが多い中、そうじゃない落としどころを持ってきたところが最高。

あと、分解中で不安定でも、クリスの拠り所となってるところがよかったなー。不安定だから拠り所になれたのかも?思春期の子供に近い存在になれていて。
身近にいて、危険なことも守りながら教えてくれて、それっぽいことを言わないで向き合ってくれる大人がいると救われるよね。

保護者とは別にそういう人がいると、子どもは自分の行き先をみつけやすいのかもと思いました。

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Filmarksではあまり評価が高くなかったけど、私はこれからも時々見返したいと思うほど好きな映画でした。
何かあったとき、誰かと話して悩みを解決する人には刺さらないのかも?一人で問題に徹底的に向き合うタイプの人にはかなりしっくりくるんじゃないかな~と思ってます。

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