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【不定期連載】給湯器ちゃんと私#7

1月13日、金曜日。曇り。寒いは寒いけど気温は比較的高め。

2023年を迎えて早くも13日。案の定と言うべきか、給湯器ちゃんが交換されることのないままヌルッと年を越してしまった。ついでに、窓側の換気扇についてもその後音沙汰がまったくない。そうだろうと思った。

つい先週まで、給湯器ちゃんがとてもご機嫌な日が続いていた。朝一のコンタクト装着の時から適温のお湯をくれるし、温かいお湯で食器を洗わせてくれる、もちろんシャワーもほどよく温かいままでいてくれる。そんな日が一週間近く続いていたから、とうとう給湯機ちゃんと私にわかり合える日が訪れたのかと思っていた。

そんなわけはなかった。ここ数日は氷のように冷たい水で食器を洗わされてあかぎれが常にビリビリ言っている有様だし、顔を洗えば顔が凍りそうだ。シャワーを浴びていても、なぜかちょうど首筋あたりの泡を流している時に急に冷水を吐き出す。死ぬからやめて。

この不定期連載で給湯器ちゃんと和解できたことを書き残さなかったからこんな目に遭っているのだろうか。さすがにそんなことないだろ。そういった思いを胸に、今日もシャワーを浴びに行った。

今日の日中は、コロナワクチンの5回目を接種しに行った。痛くないことはわかっているのだが、「ここに注射をされた!」という気持ちだけで心が痛い。私は物理的な痛みに激弱なのだ。シャワーを浴びたのは19時、ワクチン接種から約5時間後だ。そろそろ腕が痛くなってくる、という気持ちだけで痛い気がしているものの、冷静に考えれば全然痛くない。ピンピンしている。

気持ちだけ痛い腕を必要以上にかばって頭を洗い、必要以上にかばって身体を洗った。いちいち大袈裟なのが私の悪いところだ。身体を洗う時は上の方から順に流していくのが私のマイルールなのだが、やはり首筋あたりでシャワーのお湯が急にぬるくなった。給湯器ちゃんとの攻防の日々が始まって、気付けば半年以上。さすがの私も焦らなくなってきた。冷静にシャワーをカランに切り替えて、お湯が戻ってくるまでひたすら蛇口をひねる。水を出しては止め、出しては止め、お湯が出るまでやろうホトトギス。そうして、無事に身体の石鹸を流し終え、浴室を脱出することができたのだった。

給湯器ちゃんと私がわかり合える日はまだ遠そうだが、このままさらに一年が経過しても何らおかしくないと思える現状では、気難しい給湯器ちゃんのご機嫌を取りながら過ごす以外に選択肢がない。管理会社も、「年内に全室の給湯器を取り換える予定」などとできもしないことは言わない方がよかったのではないか。たぶん誰も本当に給湯器が年内に間に合うと期待してはいなかったと思う。とりあえず頑張ればお湯が出るのだからまあいいかと思って毎日を過ごしている。

もうすぐワクチン接種から7時間が経過する頃だが、まだピンピンしている。何もなさすぎて少し怖い。明日の朝にはくたばっているのだろうか。別に進んでくたばりたいわけではないが。引き出しの奥底から発掘したカロナールまでバッチリ準備しているが、このまま何事もなく過ごすことができるのならそれに越したことはないと思う静かな夜なのであった。

つづく

いただいたサポートて甘い物を買ってきてモリモリ書きます。脳には糖分がいいらしいので。