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12/13_執筆制限時間10分小説_【370 杉藤 俊雄(すぎとう としお)は××したい】続く

 かっこいいよな。本当に。

 僕は早瀬くんと一緒にいる時は、女の子になりたいと思うけど、大川くんといる時は男になりたいと痛切に願う。

 おかしいかな。男にも女にもなりたいって。

 僕の顔は性別を超えて醜くなっている。マスクを飛び出した尖った顎に、まるで横に広がった鼻が犬の口吻(マズル)のように飛び出してきた。完全に二つに分かれた瞳孔は、多瞳孔症という病気らしく杉藤家の方針で治療をさせてもらえなかった。顔が醜くなってくることこそが、神が宿る杉藤顔の特徴であり、宿命。
 それに多瞳孔症の症状である二重に物が視えたり、視力の低下が僕には起こらなかったことで、諦めさせざるを得なかった。こんな時、僕自身が無力な学生で、権力がないのがもどかしい。

 この顔の行きつく先がどうなるのかわからない。

 前髪を伸ばして目を隠している状態だけど、サングラスをかけた方が良いのかもしれない。

 対して体は背が伸びない代わりに、腹筋がさらに割れて、華奢な身体はすらりと引き締まっている。顔がアレな分、筋トレしたり、独学だけどマナー本とか読んで鏡を見ながら見苦しくない立ち振る舞いを覚えて、ボイストレーナーの本を読んで、なんとかマシな声になったと思う。

 僕はとりあえず、片っ端から努力できることは努力したんだ。
 少しでもみんなの輪に入れてもらえるように。

投稿時間:9分50秒

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