書き出し_休載小説の話をなんとか終わらせよう_アステリアの鎖 04
わたしの考えが確かなら、この儀式は――。
この五年、ネイリス学院でただ遊んでいたわけではない。自分がいま進めている研究と、故郷で起きつつある異変、アステリアがなぜこんな儀式を子孫たちに強制しているのか、すべては一本の線に繋がっている。
紫の瞳が映す煙るロータリーと白亜の町。海からの塩害を防ぐためにつくられた、魔力付与の漆喰で新たに塗り固められた白が太陽の光を吸収して鈍い光を放っている。
もしも車の排気ガスがなかったら、海の濃いエメラルドと白い街のコントラストが訪れた人々の心を揺さぶっていただろう。季節が夏ならば、オレンジやレモンといった柑橘系の果実が売り出されて、黄色やオレンジの暖色系が景色に彩を添え、町中が観光客をむかえるために色とりどりの旗を釣るして、魚介の料理と螺鈿細工などの工芸品を売り出す準備をする。
これはこの国を出る五年前の記憶。季節ごとに変わる景色と、町の匂い。そして活気のある人々の姿があった。
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