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11/27_執筆制限時間10分小説_【348 杉藤 俊雄(すぎとう としお)は××したい】続く

 1999年。ノストラダムスの大予言で、7月に世界が滅ぶらしい年に、僕たちは中学を卒業して、高校に入学した。B市内にある高等部の男子寮は商店街に近くて、学校の外に寮があるから、夏休みを運動部に邪魔されないことに安心したことを覚えている。

 ホテルからまた僕たちは、学生寮に詰め込まれた。基本的な寮の構造は中学の時と同じだけど、中学の時と違って、僕たちはバラバラのフロアになって、携帯電話とパソコンを使わないとうまく集まれなくなった。

 中学と比べて、部活もアルバイトも解禁されて、保護者の許しがあれば夏休みに合宿免許に行くことも許されて、一気にやることが増えたと思う。十六歳になったことで、大川くんは普通二輪の免許を取るために、夏休みに合宿免許に行くことになった。もちろん、僕も普通二輪をとるためについてきた。だって、普通二輪っていったらバイクだもん。乗れたらかっこいいじゃない。

 気づいたら、季節は八月になって、気づいたらノストラダムスの大予言が外れていることに気付いて、世界が変わらなく続いていることに、僕たちはなんだか気が抜けてしまった。

投稿時間:9分56秒

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