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9/9_執筆制限時間10分小説_【230 杉藤 俊雄(すぎとう としお)は××したい】続く

 僕をかわいいと言った妙な関西弁を使う男子は、髪を茶色く染めてメガネをかけた垂れ目の男だった。制服を所々着崩しているが、だらしがない印象が無く、背の高い体からは明るい光が放たれている気がする。

 だが、と、僕はマスクをかけ直して、じりじりと距離をとった。
 彼から放たれる匂いは、引っこ抜かれて放置されたまま干からびた雑草の匂いがした。こうばしい日向の匂いに混じって、冷たくて甘い死の匂いがかすかにあるのだ。

「あー。あんたー、同じクラスの杉藤やろ?」
「……え、と。僕と同じクラスだった?」
「入学式のあとに、クラスで一人一人丁寧に自己紹介したやんかっ! いけずっ!」

 と、おチャラけて女の子のように体をくねくねさせる男子に、僕よりも先に思い出したのは大川くんだった。流石である。

「あぁ、お前。同じクラスの早瀬だろ?」
「せやっ! そんで、五代と園生やろ。あんたら、いつも四人でつるんどるやなー」

 早瀬と呼ばれた男子は、なにが面白いのかケタケタ笑った。

投稿時間:9分51秒

 

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