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12/4_執筆制限時間10分小説_【357 杉藤 俊雄(すぎとう としお)は××したい】続く

「俊雄、やめろ! やめるんだ」
「ふーふーっ。ふーっ」

 低く浅く、呼吸を繰り返す。まるで、ネコが威嚇する様に息を吐く。

 殺す、殺す、殺さないと。
 壊すんじゃない、消さないと、動かないよう、喋らないように、なにもできないように。

 だから、もっと、もっと、力を入れないと。
 この首にかかっている手を、指を、親指を特に力を込めて、こう、ぎゅっとぎゅっとぎゅっとぉっ!!!

「俊雄!!! 正気に戻れ!!!!」

 包み込む優しい海の匂い。青空の下できらめく太陽。白い鴨と雲が飛んででででで……。

――ザザザザザッ。

「たぶん、これは罰なんだ」

 大人の大川くんは、そう言って悲しそうに笑った。
 
「うちの家系の癌なんていなかったんだ。それなのに、俺がなったってことは、罰なんだよ、きっと」

 ちがうちがう、罰じゃない。神様なんていない。そんな存在認めない。

「結構、殺したよなー。葉山先生を殺せなかったのは、残念だったなー」

 いやだよ、嘘だって言ってよ。僕たちはまだ三十代なんだよ。
 まだまだ、これからいっぱい殺して、たくさん壊して、すべてを嘲笑って生きて、生きて、生きてっ。

投稿時間:9分50秒

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