書き出し_休載小説の話をなんとか終わらせよう_アステリアの鎖 03

 魔導王国オルテの王位継承の儀式。
 魔王を封印して以降、王女アステリアによって生み出された犠牲を伴う血塗られた儀式。この儀式のことは【アステリアの鎖】と呼ばれており、継承の儀式が成功した人間が、次期オルテの国王となりアステリアの時代から続く、膨大な魔力と知識を手に入れることができる。
 
 それは絶対的な力と栄誉――ただし、国王となった者はアステリアの思想に支配されて、次の王位継承の儀式で生贄になるのだ。

 生き残ったとしても、いずれ生贄にされる。
 魂を感情を人格を剥奪されて、アステリアの代行人形となって王という名の国の歯車となる。まともな人間ならば忌避する事象なれど、儀式の参加条件は特にないことから、魔導を求道する者、権力欲に憑りつかれた者、わずかな希望を見出して縋りつく者などがこぞって儀式に参加する。

 さながら混沌を極めし蟲毒の様相をていしているものの、ティアを含めた勇者の直系が現代まで続いていることから、自分たちのあずかり知らない事情があるのかもしれない。
 

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