書き出し_休載小説の話をなんとか終わらせよう_アステリアの鎖 06

「うーん、迎いが来ないのは仕方ないけど」

 ティアは少し煮え切らない。
 王位継承の儀式は誰でも参加が出来るのだ。そのために他国の王族が政治的な思惑の元で、儀式に参加したこともある。そして、自分たちが有利に立ち回れるように、他の参加者に対して暗殺やテロを実行したこともあり、国際問題に発展した事例は一回や二回だけではすまされない。

 ティアは自身が儀式に参加することを一ヶ月前に表明し、王家に向けて手紙を出した。だから、速やかな儀式の遂行と暗殺を阻止するために、護衛としての出迎え要員を寄こしてくれると思っていたのだが、どうやらあてが外れてしまったらしい。

「乗りましょうよ。きっと楽しいですよ~」

 カーラもそう言った事情が分かっている。分かっているからこそ、内心で憤りつつ、ティアの気持ちを落ち込ませないようにわざと道化役を買って出ているのだ。

……うん、たぶん、そうだ。と、ティアは苦笑いをする。

「そうね。そのバスが王家の丘にいくのなら考えるけど」

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