書き出し_休載小説の話をなんとか終わらせよう_アステリアの鎖 14

「おらぁっ! ファウスト。なに時期外れの牡蠣をすすめとんじゃあああぁ。今はウニの季節だって言ってんだろうが。このボケッ! こんなんだから、お前はまだ半人前なんだぁっ! この業界で何年働いているんだっ。おらぁ!」
『駅の中にある売店に寄らなかったのですか?』

 突然怒声をあげて、プルートス警視総監は隣に座っているファウスト警視総監補佐の顔をペチペチ叩く。叱責のビンタというよりも雪山の遭難者を起こすような往復ビンタだ。
 ビンタをうけているファウスト顔色がさらに悪く、唇も若干黒ずんで見える。町中に監視の目を光らせているということから、脳にかなりの負荷がかかっているのかもしれない。
 半分本気、半分演技であるが部下を往復ビンタをするプルートスの顏からは「うおおおぉぉっ! 死ぬなぁあっ!!!」という心の声が聞こえそうだ。

『事前に出迎えが来ていると思っていましたから、ロータリーに直行しました。売店の朝刊に、なにか事件が載っていたのですか?』

 売店で分かる情報と言えば、今朝の朝刊しかティアは思いつかなかった。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?